著者
壇 和弘 大和 陽一 今田 成雄
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.323-328, 2005-09-15
被引用文献数
4 7

光強度および赤色光(R)/遠赤色光(FR)比を変えた光環境がコマツナ(Brassica campestris品種'はるみ小松菜', '楽天')の硝酸イオン濃度および硝酸還元酵素(NR)活性に及ぼす影響について調査した.コマツナは, 異なる光強度(PPFD 165, 290, 350, 510μmol・m^<-2>・sec^<-1>)あるいは異なるR/FR比(1.01: 対照区, 0.66: R抑制区, 1.50: FR抑制区)の光環境下で1/2単位および1単位の培養液を用いて養液栽培した.異なる光強度でコマツナを生育させたところ, 'はるみ小松菜'の硝酸イオン濃度は光強度の増加とともに低下し, 非リン酸化NR活性は光強度の増加とともに高まった.'楽天'では, 1/2単位の培養液を用いた試験区において, 光強度の増加とともに硝酸シオン濃度は低下し, 非リン酸化NR活性は高まったが, 1単位の培養液を用いた試験区では, 光強度が増加しても硝酸イオン濃度はほとんど低下せず, 非リン酸化NR活性も変化しなかった.R/FR比を変えてコマツナを生育させたところ, 1/2単位の培養液を用いたR抑制区でのみ硝酸イオン濃度の低下が認められた.
著者
今田 成雄
出版者
農業・生物系特定産業技術研究機構野菜茶業研究所
雑誌
野菜茶業研究集報 (ISSN:13490702)
巻号頁・発行日
no.3, pp.61-66, 2006-03

国産イチゴが端境期となる夏秋期に,冷涼な東北地域の気候を活用して安全で高品質なイチゴを生産するための技術開発に取り組んでいる.夏秋どりイチゴ栽培の新技術として,簡易な短日処理装置を用いた9~11月どり栽培,越年株を利用した7・8月どり栽培,さらに,四季成り性品種の利用がある.これらの技術について,青森県八戸市,岩手県盛岡市,宮城県気仙沼市,秋田県湯沢市において現地実証試験を進めている.実需者のニーズは,M,Lサイズが好まれるなど,生食用のニーズとは若干異なる.夏秋どりのイチゴは主として業務用となるため,新技術の普及・定着を図るには,従来の生食用の場合と異なる新たな流通形態を考えていく必要がある.
著者
宍戸 良洋 尹 千鍾 湯橋 勤 施山 紀男 今田 成雄
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.771-779, 1991
被引用文献数
4 9

トマトにおける葉の光合成速度および転流•分配の経時的変化と葉の物質生産に対する寄与度について検討するため<sup>14</sup>CO<sub>2</sub>を用いて実験を行った.<br>1). 第3葉と第7葉 (花房直下葉) の光合成速度は若い葉で高く, 発育するに従って低下した. しかしながら, 1葉当たりの光合成量は葉面積の増加度の高い間は増加し, 葉面積の増加が鈍化すると減少し, 葉の完全展開直前に最大になった.<br>2). 各葉の基本的なソース•シンク関係はその葉の近くの非光合成器官 (根や果実) をメインのシンクとし, 作物の生育ステージごとに, シンク間の発育程度の違いによるシンク間の競合と位置関係によって光合成産物の分配パターンは決定されることが示唆された.<br>3). 全葉の全光合成量からシンクにおける物質生産に対する各葉の寄与度を計算し, 果実では2~4枚の葉で果実の物質生産の60~80%を賄っていることならびに1枚の葉の最大限の寄与度は30%前後であるものと推定した.<br>4). 葉はその葉齢や個体のステージによってその光合成能および各シンクに対する寄与度を変化させていくこと, その変化の最大の要因は果実の肥大量および速度とみられ, そのシンクのメインのソース葉の光合成量と転流率のピークもそのシンクの旺盛な生長時に一致するものと考えれる.