著者
渡邉 祥 代田 健二
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第63回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.53, 2014 (Released:2015-02-24)

位相最適化手法により導出される最適化問題は,非適切問題であることが知られている.そのため最急降下法を適用すると,数値不安定現象が発生する.畔上は,数値不安定現象の原因を設計空間と勾配の属する関数空間の違いと考え,H1勾配法を提唱した.一方,数値不安定現象を起こす原因としては,離散化誤差,丸め誤差,測定誤差がある.測定誤差がない場合は,高精度数値解法と多倍長計算を用いることにより,非適切問題の近似解を高精度に得られることが示されている.位相最適化問題において測定誤差は存在しないため,高精度数値解法・多倍長計算が有効であることが期待できる.本研究では,高精度数値解法とH1勾配法を組み合わせた高精度最適設計手法の開発を行う.高精度数値解法として任意多点差分法,多倍長環境として exflibを採用する.ポアソン方程式・静弾性方程式による位相最適化問題に対する数値実験を実施し,開発手法の有効性を検討する.
著者
山本 昌宏 代田 健二 斉藤 宣一
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

逆問題に対して、再生核ヒルベルト空間ならびに多重スケール核に基づいて、多次元の任意形状をもつ領域における数値解析手法の研究と開発を目指したが、この方法は正則化手法と密接に結び付いており、また離散化のためには有限要素法などを駆使しなくてはいけないことが、より鮮明になり、その方面の研究を進めた。実績は以下のとおりである。(1)相転移問題や熱伝動現象で初期値を決定する逆問題などの応用逆問題で上記の着想に基づいた数値解析手法を開発し、成果として公表した。(2)再生核ヒルベルト空間の手法をチホノフの正則化に適用した場合の近似解の安定性・収束の理論や正則化パラメータの最適な選択原理の講究を実施し、成果を出版した。逆問題個有の不安定性があり、データの微小変動に対して逆問題の解の偏差が極めて大きくなる可能性があるが、そのために正則化の数値計算のためには必要な離散化には特別の注意が必要である。すなわち、逆問題の数値解の精度をあげるために離散化を細かくしていくと、逆問題自体の不安定性からしばしば精度が悪くなる。そこで、逆問題の数値解法においては、要求されている解の精度の範囲において離散化の精度を適宜コントロールすることが必要不可欠である。これへの1つの解答を与えた。該当年度においては正則化法に有限要素法を用いて安定な数値解法を提案し、論文を完成させ公表した。(3)また、継続中の課題としては、再生核ヒルベルト空間の1つの数値手法である多重スケール核の方法の逆問題への応用についての研究があるが、これまで得た成果を本萌芽研究での知見を活用して将来的に大きく発展させる素地ができたと判断している。
著者
代田 健二
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,弾性波動場における係数同定逆問題の実用問題例である周波数データを用いた鉄とコンクリートによる合成梁の欠陥同定問題に対して,反復型数値解法を開発した.変分法的定式化によりチコノフ型正則化項を持つ汎関数による制約条件付き最小化問題を導出し,その問題へ射影勾配法を基礎とした反復アルゴリズムを適用した.数値シミュレーションによる周波数データおよび実測データを用いた数値実験を実施し,一定精度で同定できることを明らかにした.