著者
伊藤 創 仲 潔 岩男 考哲 藤原 康弘
出版者
関西国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、構文レベルにおける日・英語の事態描写の違いに焦点をあて、日本語を母語とする英語学習者が、母語での事態描写のあり方に即した形で英語表現を構成できるような、より自然で低負担、効率的な英語学習法を提案しようとするものである。そのために、学習者・教科書データ、英語・国語教科書・教材の分析から、1)日本語母語話者の英語に見られる構文的な特徴、2)それらが日本語のどのような事態把握・描写に基づいているか、3)どのような過程でその描写の「型」が形成されるのか、を明らかにする。その上で、4)日本語母語話者の事態把握の型を生かした形で英語表現が産出できるような教材試案を作成、その効果検証を行う。
著者
仲 潔
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09162151)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.15-32, 2006-02

JETプログラムは外国語教育の改善と国際理解という目的のために設けられた言語政策であると考えられている。筆者は仲(2002b)において、このJETプログラムの言語政策論的課題を明らかにした。続いて仲(2003)では、国際英語論と英語帝国主義論という2つの英語論の観点から批判的考察を行い、改善のための可能性を探った。さらにNaka(2005)において、学習者の異言語観や異文化観に与え得る要素を提示した。これらの分析により、現状のJETプログラムでは英語による植民地化、つまり英語を迎合的に迎える態度を促進するだけではなく、異文化理解の阻害ともなる「負」の要素を含んでいると考える。一方、JETプログラムには、その理念の一つである真の異文化理解に向けた可能性も持ち合わされているという「正」の側面もあると考える。そこで本稿では、言語政策論における評価的アプローチに基づき、JETプログラムの課題を克服するための提言を行う。