著者
伊藤 浩介
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.104-109, 2020-09-30 (Released:2020-11-18)
参考文献数
21

How should we define synesthesia? After more than a century of research, scientists have still not reached an agreement on what synesthesia is (and is not). The author’s opinion of this condition is that the disagreement on the definition of synesthesia is essentially a disagreement on determining what sensations are normal and what are unnormal. All different versions of the definition of synesthesia state, either explicitly or implicitly, that synesthesia is an extraordinary sensation, which is caused by the activation of a second sensory or cognitive pathway that is not normally activated by the inducing stimulus. In other words, the boundary between synesthesia and non-synesthesia depends on what sensations are considered normal, and this can only be judged subjectively. In so far as we consider synesthesia as an unnormal/extraordinary phenomenon, it is illogical to hope that there could be some objective criteria to distinguish synesthesia from non-synesthesia. The remedy is to assume continuity between synesthetic and non-synesthetic experiences.
著者
藤坂 朱紀 伊藤 浩介 小比賀 聡
出版者
一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会
雑誌
レギュラトリーサイエンス学会誌 (ISSN:21857113)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.113-120, 2017 (Released:2017-05-31)
参考文献数
32
被引用文献数
1

核酸医薬品は, 低分子医薬品や抗体医薬に次ぐ新たなカテゴリーの医薬品として, 近年大きな注目を集めている. 実際に承認された核酸医薬品はこれまでのところ世界的にも5品目と少ないものの, 国内外における核酸医薬品の臨床試験は現在百数十件にも達しており, その勢いは今後も衰えることはないであろう. しかし, 現在のところ核酸医薬品を主たる対象としたガイドラインは存在していないため, 核酸医薬品開発に関わる品質, 非臨床安全性, 臨床的特徴を整理し検討しておくことは核酸医薬品の研究開発を進めるうえで重要である. 本稿では, 核酸医薬品の開発の現状を概説するとともに, 核酸医薬品に関わるレギュラトリーサイエンス上の課題点について, 特に品質管理の立場から, 合成・精製, および分析上の課題, 化学修飾に基づく課題, 高次構造の管理などのいくつかのポイントについて議論する.
著者
伊藤 浩介
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.669-671, 2015 (Released:2017-03-22)

大阪大学大学院薬学研究科は,厚生労働省の「革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促進事業」に採択され,平成24年度より「核酸医薬の臨床有効性及び安全性の評価法」について研究を開始した.私は,当該事業における人材交流の一環で平成24年10月より2年半,医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency:PMDA)において特任職員として勤務した.この事業は,革新的な技術等を応用した医薬品,医療機器および再生医療製品の実用化をスムーズに進めるために,薬事的な審査基準などの明確化が必要であるとの観点からスタートしている.その目的達成のために,革新的な医薬品等の開発に資する技術,科学的な知見などを有するアカデミアの参画を求めるわけであるが,実際のところ,大学等は単独で医薬品等の審査基準を検討できるノウハウや経験を有していないと思われる(少なくとも本事業開始時点において,大阪大学大学院薬学研究科にはそのような体制は整っていなかった).したがって,この事業では医薬品等の審査等に精通している規制当局(PMDAおよび国立医薬品食品衛生研究所)とアカデミアとの間で人材交流を行い,互いの知識と経験を共有することで,革新的な医薬品等の審査基準等の検討・確立が可能となることが期待されている.また,この事業の重要な副次的な成果として,アカデミアと規制当局間における人材交流などを通じて,アカデミアにレギュラトリーサイエンスに精通した人材を育成することも期待されている.本稿では,核酸医薬をキーワードとして行われた大阪大学大学院薬学研究科とPMDAの間の人材交流の当事者としての経験,および核酸医薬の審査基準等に関する検討の一端を紹介する.