著者
伊藤 献一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.658-661, 1994

無重力下でローソクの炎は球形になる。高温の炎は地上では重力の影響で対流を生み出す。しかし, 無重力では自然対流がないため, ローソクの芯の先からロウの蒸気が全周に一様に拡散して球状の炎をつくる。このように, 対流の影響を取り除くと燃焼の本質が見えてくる。また, 無重力状態では, 液体燃料の粒や石炭の粒子を空間に静止させることができ, 粒子から粒子へ火の伝わる状態を正確に観察できる。燃料の燃焼研究や宇宙火炎の研究が今, 落下塔などの無重力環境を利用して行われようとしている。
著者
伊藤 献一 矢野 利明 永坂 玲
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.48, no.428, pp.803-810, 1982-04-28 (Released:2008-03-28)
参考文献数
18

単筒エンジンをメタノールで運転し,排気管に沿う未燃燃料とCH2Oの変化を調べた.400℃以上で未燃メタノールは排気管中で酸化のため減少するのに対し,CH2Oは減少せず希薄運転では増加することを見い出し,両者の成因は異なることを指摘した.この原因は,CH2Oがメタノールの酸化に伴い生成されることにあり,排ガス温度が400~600℃において,CH2O濃度は増加現象を示すことを,定温度場における反応実験により裏づけた.
著者
矢野 利明 伊藤 献一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.48, no.431, pp.1392-1401, 1982-07-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
10

火花点火メタノールエンジンの排気系において, 未燃メタノールの酸化過程には, NOからNO2への変換反応により生成されるOHラジカルが, O2の存在と共に重要であることを, 反応動力学モデルを用いて説明し, 実験結果と対比させた. メタノールの消滅速度は, NO濃度の高い理論当量比付近において最大となる. 一方, ホルムアルデヒド濃度は, O2濃度が高く, しかもNO濃度の低い場合に高くなることが明らかとなった.