著者
後藤 芳彦 佐々木 央岳 鳥口 能誠 畠山 信
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.461-472, 2013-09-30 (Released:2017-03-20)

北海道クッタラ火山登別地熱地域,大湯沼の北東200m地点において,トレンチ調査(深さ6.3m)を行い,登別地熱地域の噴火史を解明した。トレンチ断面の層序は,12層の水蒸気噴火堆積物(厚さ3-100cm)と,それらに挟在するB-Tmテフラ,Us-bテフラからなる。12層の水蒸気噴火堆積物は,変質したデイサイト質石質岩片(最大粒径80cm)と粘土質のマトリクスから構成され,サグ構造を示すことから,登別地熱地域から噴出したと考えられる。各々の水蒸気噴火堆積物は土壌層を挟在し,12回の噴火が休止期を挟んで繰り返し起きたことを示す。水蒸気噴火堆積物の直下土壌層の放射性炭素年代測定値,および広域テフラとの対比により,水蒸気噴火は,約BC6450年,BC5370年,BC3980年,BC3440年,BC1990年,BC1710年,BC1280年,BC900年,BC200年,AD980年,AD1480年,およびAD1663年以降に起きたと推定される。登別地熱地域では,過去8500年間に12回以上の水蒸気噴火が起こり,噴火の頻度は700年に1回程度であると考えられる。
著者
白岩 孝行 的場 澄人 山縣 耕太郎 杉山 慎 飯塚 芳徳 YOSHIKAWA Kenji 佐々木 央岳 福田 武博 對馬 あかね
出版者
総合地球環境学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

北部北太平で知られている気候レジームシフトと生物基礎生産量変動との関係について調べるために、アラスカ山脈オーロラピーク近傍に発達する氷河において氷コアを採取し、鉄濃度の分析を行った。その結果、10年間の平均鉄沈着量は8.8mg m^<-2>・yr^<-1>で、2001年2002年は、それぞれ、29、19mg m^<-2>・yr^<-1>だった。30m深の海洋表面混合層への鉄の供給は、10年間の平均値では、植物プランクトンを増殖させるほどの影響がないが、2001年、2002年の大規模黄砂時には影響を与えうることが推測された。