著者
Yoshinori IIZUKA(飯塚芳徳) Sumito MATOBA(的場澄人) Masahiro MINOWA(箕輪昌紘) Tetsuhide YAMASAKI(山崎哲秀) Kaoru KAWAKAMI(川上薫) Ayako KAKUGO(角五綾子) Morihiro MIYAHARA(宮原盛厚) Akihiro HASHIMOTO(橋本明弘) Masashi NIWANO(庭野匡思) Tomonori TANIKAWA(谷川朋範) Koji FUJITA(藤田耕史) Teruo AOKI(青木輝夫)
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF SNOW AND ICE
雑誌
Bulletin of Glaciological Research (ISSN:13453807)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1-12, 2021 (Released:2021-10-13)
参考文献数
18
被引用文献数
2

In order to construct reliable deposited-aerosol database on the Anthropocene (from 1850 to 2020), we obtained a 250-meter-long ice core from the Southeastern Greenland Dome on May and June 2021, where is one of the highest accumulation domes in Greenland. The age of the ice core at a depth of 250 m was roughly estimated to be AD 1827 based on the timescale from a previously analyzed shallower ice core. The age of the sampled ice core satisfied the prerequisite conditions for constructing aerosol deposition database for Anthropocene. In addition, surface elevation, borehole temperatures, and internal stratigraphy of the ice sheet were performed, and meteorological and snow-pit observations were also conducted. Furthermore, we sampled aerosol and snow from the ice sheet for chemical and physical analyses.
著者
MATOBA Sumito(的場澄人) MOTOYAMA Hideaki(本山秀明) FUJITA Koji(藤田耕史) YAMASAKI Tetsuhide(山崎哲秀) MINOWA Masahiro(箕輪昌紘) ONUMA Yukihiko(大沼友貴彦) KOMURO Yuki(小室悠紀) AOKI Teruo(青木輝夫) YAMAGUCHI Satoru(山口悟) SUGIYAMA Shin(杉山慎) ENOMOTO Hiroyuki(榎本浩之)
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
Bulletin of Glaciological Research (ISSN:13453807)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.7-14, 2015 (Released:2015-12-08)
参考文献数
20
被引用文献数
10

During spring 2014, we drilled an ice core on the northwestern Greenland Ice Sheet, recovering a core of total length 225m. We also conducted stratigraphic observations, measurements of the density of the ice core, near-infrared photography of the ice core, preparation of liquid samples for chemical analysis, and measurements of borehole temperature. The pore close-off depth was 60m, and the temperature in the borehole was −25.6°C at a depth of 10m. In addition, we conducted snow-pit observations, ice-velocity and surface-elevation measurements using the global positioning system (GPS), meteorological observations, and installation of an automated weather station (AWS).
著者
青木 輝夫 本山 秀明 竹内 望 的場 澄人 堀 雅裕 八久保 晶弘 山口 悟 田中 泰宙 岩田 幸良 杉浦 幸之助 兒玉 裕二 藤田 耕史 朽木 勝幸 庭野 匡思 保坂 征宏 橋本 明弘 谷川 朋範 田中 泰宙 植竹 淳 永塚 尚子 杉山 慎 本吉 弘岐 下田 星児 本谷 研
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

グリーンランド氷床上での現地観測から、涵養域ではアルベド低下に対するブラックカーボン(BC)等積雪不純物の寄与は小さく、積雪粒径増加効果の方が大きいことが分かった。また2012年7月の顕著な表面融解には下層雲からの長波放射が効いていた。消耗域では表面の不純物中に微生物が大量に含まれ、アルベド低下へ大きく寄与していた。衛星観測から2000年以降の氷床表面アルベドの低下原因を解析した結果、涵養域では積雪粒径の経年増加が主要因で、消耗域では裸氷域と微生物を含む暗色域の拡大が原因であった。内陸域で深さ223mの氷床コアを掘削し、その解析からBC濃度は1920-30年に現在の数倍程度高いことが分かった。
著者
東 久美子 塚川 佳美 近藤 豊 Dallmayr Remi 平林 幹啓 尾形 純 北村 享太郎 川村 賢二 本山 秀明 的場 澄人 青木 輝夫 茂木 信宏 大畑 祥 森 樹大 小池 真 小室 悠紀 對馬 あかね 永塚 尚子 繁山 航 藤田 耕史
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

2014年春にグリーンランド氷床北西部のSIGMA-Dサイトで225メートルの深さまでのアイスコアが掘削された。積雪のアルベドに影響を及ぼす物質として注目されているブラックカーボン(BC)の変動を高時間分解能で復元するため、国立極地研究所で開発されたアイスコア連続融解析装置(CFA)を用いてこのコアの深度6~113mを高時間分解能分析した。CFAはアイスコアを融解しながら連続的に分析する方法であるが、融解部に接続したWide-Range SP2 (Single Soot Photometer)によりBCを分析した。コアの上部6mは空隙の多いフィルンであり、CFAを用いることができなかったため、約5cmの長さ毎に切り、試料表面の汚染を除去して融解した後、SP2で分析した。主としてナトリウムイオン濃度と酸素同位体比の季節変動を利用してこのコアの年代決定を行い、1年を12に分割して月毎の変化を調べた。ブラックカーボンの質量濃度と数濃度はともに1870年頃から増加し始め、1920~1930年頃にピークを迎えたが、その後減少に転じた。1870年頃からの濃度の増加は、化石燃料の燃焼によって発生する人為起源のブラックカーボンがグリーンランドに流入したためであると考えられる。化石燃料起源のBC濃度の増加に伴ってBCの粒径が大きくなる傾向が見られた。これはグリーンランドに到達する化石燃料起源のBCの粒径が森林火災起源のものよりも大きいことを示唆している。BC濃度の季節変動を調べたところ、BC濃度の増加は主に秋~冬に生じていることが分かった。また、人為起源のBCの影響がない時代にはBC濃度は夏にピークを示していたが、人為起源のBCが多量に流入した時代には冬にピークを示していたことも分かった。夏にはしばしばBCが短期間だけ50µg/Lを超える高濃度になることがあったが、これは森林火災によるものと考えられる。本発表では、SIGMA-Dコアの結果を他のグリーンランドコアと比較して議論する。
著者
服部 祥平 飯塚 芳徳 植村 立 鈴木 希実 鶴田 明日香 石野 咲子 藤田 耕史 的場 澄人 吉田 尚弘
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.65, 2018

<p>グリーンランドの氷床コアは北アメリカやヨーロッパ由来の大気が由来し、過去のエアロゾル動態を復元する貴重な環境媒体である。産業革命以降の人間活動の増大に伴い、大気中に放出される硫黄及び窒素酸化物の濃度が上昇し、1970年以降に北アメリカ、ヨーロッパで排出が抑制された。事実、氷床コア中の硫酸濃度の減少がSO2排出量の減少と対応していることが知られている。本研究では、グリーンランド南東ドーム(SE-Dome)で採取された約90 m、60年分のアイスコアを用い、時間解像度3~6年で硫酸の三酸素同位体組成を分析した。</p>
著者
鶴田 明日香 服部 祥平 飯塚 芳徳 藤田 耕史 植村 立 的場 澄人 吉田 尚弘
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

<p> 大気中に放出された窒素酸化物(NOx = NO、NO2)は大気酸化剤との反応によって硝酸(NO3-)に変換される。産業革命以降の人間活動の増大に伴い大気中に放出されるNOx濃度は上昇したが、1970年以降に北米やヨーロッパでNOxの排出は抑制され、大気NOxの濃度は減少した。しかし、アイスコア中のNO3-濃度の変動とNOx放出量の増減は必ずしも一致していない。 NO3-の安定同位体組成はNOxの窒素起源情報を保存しているため、過去のNOx動態の復元に有効であると期待されてきた。しかし、NO3-は紫外線による光分解の影響を受けやすいため、涵養量の低い地点では沈着後に光分解に伴う同位体分別によってその同位体組成が変化してしまうことが指摘されている。そこで本研究では、涵養量の高いグリーンランド南東ドームにおいて掘削されたアイスコア試料を用い、沈着後の光分解の影響を受けていないNO3-の窒素同位体組成を分析し、過去60年間のNOx動態の復元を試みた。</p>
著者
古川 崚仁 植村 立 藤田 耕史 Jesper Sjolte 芳村 圭 的場 澄人 飯塚 芳徳
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

<p>アイスコアから過去の環境変化を研究するためには、正確な年代を与えることが不可欠である。一般的には、グリーンランドアイスコアの高精度年代は年層を数えることで正確に求めることができる。しかし、年層同定に用いられる酸素同位体(δ<sup>18</sup>O)や化学成分の濃度は不規則な変動を示すことがあり、1年以下(数か月レベル)での年代決定は困難であった。本研究では、アイスコア記録と気候モデルによってシミュレートされたδ<sup>18</sup>Oの変動をパターンの対比に基づいて高精度年代決定を試みた。年代推定法は、グリーンランド南東部のドームから得られた新しいアイスコア(SE-Domeコア)に適用した。SE-Domeにおけるアイスコアのδ18O変動パターンと同位体大気大循環モデルの降雪のδ<sup>18</sup>O変動パターンの間には、過去54年間に渡って高い相関があった。不規則な数か月レベルの変動にも特徴的な一致が見られたため、±数ヶ月の精度で年代を決定することができた。</p>
著者
浦 幸帆 長田 和雄 香川 雅子 三上 正男 的場 澄人 青木 一真 篠田 雅人 黒崎 泰典 林 政彦 清水 厚 植松 光夫
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.234-241, 2011 (Released:2011-09-28)
参考文献数
25

Water-insoluble filtered residue materials of atmospheric wet and dry deposition are composed of mineral dusts and organic materials such as pollens. The number of pollens in the filter residue of deposition samples at Tottori was counted for 2 sizes at about 45 and 30 µm using a confocal laser microscope. Non-destructive X-ray fluorescence (XRF) analysis was used to measure Fe content of the filter residue. Relationship between Fe content analyzed by XRF and insoluble residue weight corrected for pollen weight assuming pollen density of 0.9 g/cm3 showed a linear relationship, suggesting that insoluble residue corrected for pollen weight contains Fe of 3.7 % by weight on the average. The average Fe content is consistent with the values reported for Asian dust (Kosa) events in Korea and China. Because Fe content of insoluble residue in filter samples is easily measured by XRF method, mineral dust amounts in the filter residue samples can be estimated from Fe content of the sample and the average fraction of Fe for Asian dust.
著者
佐藤 和秀 亀田 貴雄 石井 吉之 的場 澄人 高橋 一義 石坂 雅昭 竹内 由香 横山 宏太郎 小南 靖弘 川田 邦夫 渡辺 幸 飯田 俊彰 五十嵐 誠 竹内 望
出版者
長岡工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

北海道から本州の山形県,新潟県,富山県にいたる冬期の降積雪試料を採取し,主に酸性雪に関する化学特性の解析を行い,その実態の調査研究を実施した。報告例が少ない降積雪の過酸化水素濃度に関する多くの知見が得られた。より明確な因果関係の把握にはさらなる観測調査が必要であるが,大気汚染物質あるいは積雪の主要イオン濃度,過酸化水素濃度,pH,黄砂,雪氷藻類などの間にはいくつかの相関関係が見られ,融雪水のイオンの選択的溶出も観測された。
著者
白岩 孝行 的場 澄人 山縣 耕太郎 杉山 慎 飯塚 芳徳 YOSHIKAWA Kenji 佐々木 央岳 福田 武博 對馬 あかね
出版者
総合地球環境学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

北部北太平で知られている気候レジームシフトと生物基礎生産量変動との関係について調べるために、アラスカ山脈オーロラピーク近傍に発達する氷河において氷コアを採取し、鉄濃度の分析を行った。その結果、10年間の平均鉄沈着量は8.8mg m^<-2>・yr^<-1>で、2001年2002年は、それぞれ、29、19mg m^<-2>・yr^<-1>だった。30m深の海洋表面混合層への鉄の供給は、10年間の平均値では、植物プランクトンを増殖させるほどの影響がないが、2001年、2002年の大規模黄砂時には影響を与えうることが推測された。
著者
白岩 孝行 中塚 武 立花 義裕 山縣 耕太郎 的場 澄人
出版者
総合地球環境学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

ランゲル山のコアについて、表層から深度100mまでの解析・分析を実施した。内容は、水素同位体比(0-50m)、主要イオン(0-50m)、ダスト濃度(0-80m)、X線精密密度(0-100m)、トリチウム(0-50m)である。微量金属濃度については、ローガン山のコアについて測定した。以下、上記の解析・分析から明らかになったことを箇条書きでまとめる;1.ランゲル山コアの0-50mの深度では、水素同位体比、ダスト濃度、トリチウム濃度に明瞭な季節変動が見出された。濃度のピークは水素同位体比が夏、ダスト濃度とトリチウムが春と判断された。2.ランゲル山のX線精密密度の深度方向への偏差値は、水素同位体比の変動と良く一致し、水素同位体比の重いピークに偏差の小さいピークが重なる。このことは、春から夏にかけて生じる間欠的な降雪が密度変動を大きくしていると考えられ、密度のような物理シグナルでも季節変動を記録していることが明らかとなった。3.ランゲル山コアのダスト濃度は春に高く、その他の季節に低い季節変動を示す。ダストフラックスは2000年以降増加傾向にあり、これは日本で観測された黄砂現象の増加傾向と一致する。4.ランゲル山コアのトリチウム濃度は明瞭な季節変動を示し、濃度のピークが晩春に現れる。この変動は対流圏と成層圏の物質交換に起因すると考えられ、春の低気圧性擾乱の指標になる可能性が見出された。5.ランゲル山のNaの年フラックスは冬のPDOインデックスと良い相関があり、長周期気候振動の指標となることが示された。6.微量金属分析はローガンコアの1980-2000年にかけて実施された。年間の鉄フラックスは数μg/平方mから80μg/平方m程度で変動しており、その原因として黄砂と火山噴出物があることが示された。7.ローガン山と北部北太平洋の西側に位置するウシュコフスキー山の両方で得られコアの涵養速度を比較したところ、逆相関の関係が認められ、これがPDOと連動していることが明らかとなった。