著者
市川 朝子 佐々木 市枝 佐々木 由美子 中里 トシ子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.829-837, 1988

1) ケーキ生地の比重は, バター添加量の増加につれて高く, また, 別立て法の場合に高くなった.比容積は, バター量の少ないものほど高く, また, 共立て法の場合に高くなった.この比重と比容積値の間には, 相関係数<I>r</I>=0.748 という高い正の相関関係が認められた.<BR>2) ケーキの水分量と糊化度の問には, 相関係数 <I>r</I>=0.748 と高い正の相関関係が認められた.<BR>3) ケーキの糊化度は, バター添加量が多くなると小さくなる傾向を, また別立て法は共立て法より小さくなる傾向を示した。別立て法でバター量 0 のケーキは, 冷凍貯蔵中の糊化度の変化がとくに顕著であった.これに対し, バターを加えたケーキは, とくに共立て法の場合, 冷凍貯蔵中の値の低下が抑制された.<BR>4) 官能検査の結果から, 嗜好的には共立て法が別立て法に比べて好まれ, 別立て法は冷凍貯蔵した場合, とくに好まれない.共立て法でバターを加えたケーキは, 焼きあがり当日も, 冷凍7日後もほとんど差はみられず, もろさの面ではむしろ後老のほうが好まれた, 以上を考えあわせると, ケーキを冷凍貯蔵する場合は, 共立て法で, バターを粉の 20~40% 量加えた試料が総合的に好まれるといえよう.<BR>5) 対照として行った冷蔵貯蔵7日のケーキの性状は, 同じ期間冷凍貯蔵したケーキに比べ, 水分, 糊化度, 弾力性についてはかなり低い値を, 凝集性はやや低い値を, また硬さはかなり高い値を示した.<BR>従来から共立て法のケーキは日持ちがよい, といわれてきたことが, 今回の糊化度および官能検査の結果から支持された.
著者
佐々木 由美子
出版者
立正大学社会福祉学会
雑誌
立正社会福祉研究 (ISSN:13454609)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.21-26, 2013-10

1990年代に,ニューカマーと呼ばれる外国人が多数来日し,その子どもたちを巡る保育に関する研究が始まってから20余年が経過した.そして多くの外国籍児童が我が国で成長し,中には日本の保育士資格を取得して,保育の現場で活躍している人が存在する.本研究では,外国人人口比率が多いことで知られている群馬県大泉町に所在する保育園を調査対象とし,そこに子どもを通園させている外国籍保護者へのインタビューを通して,家庭での言語コミュニケーションについて,および多文化共生保育に関わる外国籍保育士の役割について検討した.その結果,外国籍保護者は,わが子の保育園における日本文化・日本語の獲得を歓迎する一方で,家庭では母国文化を継承し,母語でのコミュニケーションを行っていることが確認された.また,外国籍保育士が保育園に勤務することで,外国籍保護者が自分の意見を母語で伝えることが可能になるとともに,情報伝達への不安が解消されたことが明らかになった.原著論文
著者
佐々木 由美子 相澤 京子
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.39-48, 2017

<p> 現在、保育現場で活用されている紙芝居は、昭和初期におこった街頭紙芝居をもとに、保育教材として発展したものである。低劣、俗悪と批判されていた紙芝居が、昭和10年代に急速に保育現場に普及し、20年代には「紙芝居中毒を起こしている」と批判されるほど日常的に活用されるようになっている。その急速な普及の背景には、幼児に向けた紙芝居とは何なのか、保育における紙芝居とは何なのかを真剣に追究し、研究や制作を行った保育問題研究会や日本教育紙芝居協会の働きがあったのではないだろうか。 本論文では、これら二つの研究会に焦点をあて、どのような研究や活動が行われ、紙芝居の普及にどのような役割を果たしたのかについて考察した。</p>