著者
瀧川 具弘 バハラヨーディン バンチョー 小池 正之 ウサボリスット プラティアン 佐久間 泰一 楊 印生
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.51-59, 2002-09-01
参考文献数
14

タイでは, 経済発展に伴い農村での労働力減少, 高齢化が進行しており, 併行して大形農業機械を使用する受託農作業システムの普及が着実に進んでいる。本研究では, 中央平原の Nong Pla Mor 区を対象とした調査に基づき, このような受託農作業者 (コントラクタ) の運用実態を報告する。ここでは, Nong Pla Mor 区でのコントラクタ利用の特徴的な状況についてアンケート調査により農民意識と技術受容構造の関係について調べた。調査地では, 全農家が耕起から収穫までの諸作業でコントラクタを利用していた。こうした受託農作業では, 小形農業機械を利用した互助的形態と, 高価な大形機械を利用する半専業的形態とがあった。後者には, 乗用トラクタによる耕起作業受託とタイ製普通コンバインを用いた収穫作業受託が該当した。
著者
佐藤 政良 NIYAMAPA Tan BAHALAYODHIN バンショー 佐久間 泰一 真板 秀二 小池 正之 BANSHAW Bahalayodhin TANYA Niyamapa NIVAMAPA Ton VUDHIVANICH バラウト PONGSATORN S TANYA Niyama VARAWOOT Vud JESDA Kaewku BANSHAW Baha 杉山 博信
出版者
筑波大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

戦後に建設されたタイ中央平原における近代的灌漑システムの現状を末端農村レベルまで調査し、独立的といわれるタイ農民の協同的水管理行動について検討した。チャオブラヤ川流域における乾期の絶対的水不足環境の下で、政府の努力に関わらず、Water Users′Group(WUG)が十分に機能せず、とくに乾期の水配分が政府の意図通り計画的に実施できていないことを明らかにした。末端レベルでは、圃場条件に応じた水管理が行われ、用水配分は一般に上流有利になっていて、水条件のよい農民だけが3期作を実現できる。用水確保のため、必要な限りではあるが協同で水路維持事業を実施している。圃場整備実施に対しても、村としての事業参加が見られ、大半の農民が参加している。しかし道水路密度,換地方法,不賛同者地区除外の仕方などに日本との違いがあることが指摘された。補助金等の政策技術によって、WUG活動へのインセンティブを高めることが必要である。中央平原稲作地帯における大型トラクタ走行の阻害要因であるBangkok clayey soilに対する動力学的試験を行い、繰り返しねじりせん断試験における繰返し回数の増加につれて、ねじりせん断ひずみと間隙水圧が増加することを見いだした。乾燥密度と載加周波数がねじりせん断応力に及ぼす影響も明確になった。流域保全に関しては,メクロン川流域における土壌侵食および浮遊土砂流出と流域特性を解明するため、(1)流域および降雨特性、(2)タイの他諸河川との比較によるメクロン川の浮遊土砂流出特性、(3)浮遊土砂流出量推定式、(4)支流のクワイ・ヤイ川、クワイ・ノイ川およびランパチ川の浮遊土砂流出特性,の検討を行い、流域上流部に対して下流部の方が浮遊土砂のより大きな供給源になっていることを明らかにした。流域の長期的・持続的利用にとって、開発農地における土壌流亡対策の実施が重要であることを指摘した。
著者
佐藤 政良 佐久間 泰一 石井 敦 塩沢 昌 吉田 貢士
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

灌漑用水の管理に関して,世界で潮流となっている参加型水管理(PIM)について,その現状と成功の共通原理を探るため,日本とアジア諸国の農業用水管理を調査,比較分析した。日本での成功は,灌概事業における全段階,全側面における農民参加の制度的保証によっており,一方韓国における公的管理強化は複雑な農村の政治経済的背景から起こり,タイなどにおけるPIM導入の困難は,政府の強い保護的姿勢と制度の未確立によるものと判断された。