著者
中村 大輝 佐久間 直也
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.357-371, 2022-11-30 (Released:2022-11-30)
参考文献数
49

本研究では,仮説設定の思考過程に関する先行研究に基づき,仮説設定を「変数の同定」と「因果関係の検討」に分割した段階的指導法を開発した。変数の同定の段階では,一部の条件(変数)が異なる複数事象の比較を通して事象に関連する複数の変数を見出させるとともに,見出した変数を学級内で共有する。因果関係の検討の段階では,変数間の因果関係を場合分けして整理した上で,自身の仮説を文章化させる。このような指導法の効果を明らかにすることを目的として,中学校第2学年「電流とその利用」の単元で2回の継続的な指導実践を行った。その結果,複数事象の比較を通した仮説設定の段階的指導法は,学習者の仮説設定の質を向上させることが支持された。
著者
佐久間 直也
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.33-34, 2023-03-14 (Released:2023-03-30)
参考文献数
2
著者
佐久間 直也 中村 大輝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 46 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.499-502, 2022 (Released:2023-03-07)
参考文献数
7

地球規模の環境問題はグローバル社会における重要な課題の1つとなっており,問題の解決に向けて国家の枠を超えた連携が求められるようになってきている.しかしながら,環境教育においては環境問題を個人の道徳問題として扱う傾向があり,社会の構造的な問題に目を向けていない.このような状況の改善に向けて欧米では,環境問題を個人の問題としてだけではなく,社会的・政治的問題として扱い,社会に参画して責任ある環境保護行動を行う市民を育成することを目指す環境シティズンシップ教育が普及しつつある.本研究では,環境シティズンシップの考え方に基づき,中学生が環境問題について学習した後で,それらの問題のステークホルダーを特定し,問題の改善に向けた提案・交渉を行う活動を実践した.その結果,一連の学習を通して生徒の環境問題への興味だけでなく,問題の現実的な解決に向けて行動を起こそうとする態度が育成されることが示唆された.
著者
佐久間 直也 中村 大輝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.27-30, 2021-12-19 (Released:2022-01-20)
参考文献数
11

科学的探究において仮説は重要な役割を持つにもかかわらず,これまで理科の授業では仮説の立て方の指導がほとんど行われてこなかった.そこで筆者らは、複数事象の比較を通した仮説設定の段階的指導法を開発し効果検証を行ってきた(佐久間・中村,2021).本発表では,これまでの実践における課題の改善と新たな学級や単元における実践に取り組み,提案する指導法が一貫した効果を持つかを検討した.具体的には,中学校第2学年「電流とその利用」において継続的な実践を行い,授業時の仮説設定の質を評価した.その結果,提案する指導法は従来の指導法と比べて仮説設定の質の向上に相対的に高い効果があることが示された.その一方で,授業後のアンケートでは仮説設定が難しいと感じていた生徒も依然として多く見られたことから,今後は仮説設定の題材の工夫と継続的な指導によって苦手意識を軽減できるよう取り組む必要がある.