著者
松下 博通 佐川 康貴 佐藤 俊幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E (ISSN:18806066)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.507-519, 2010 (Released:2010-12-20)
参考文献数
50
被引用文献数
1 1

本研究では,地盤に含まれる硫酸イオンおよび硫酸塩によるコンクリートの硫酸塩劣化について取り上げた.はじめに,旧産炭地域のぼたを用いた盛土地盤と新第三紀泥岩層の造成地盤における住宅基礎コンクリートの劣化既往事例を概説し,その原因が地盤に含まれる硫酸イオンおよび硫酸塩によるものであることを示した.次に,黄鉄鉱を含む海成層による堆積地盤において,細菌の作用により黄鉄鉱が酸化され,硫酸イオンが生じる過程を示した上で,日本各地の地盤中に含まれる硫酸イオン濃度について考察した.最後に,地質と気象要因に基づき,日本全土におけるコンクリートの硫酸塩劣化の可能性を有する地盤を「コンクリートの腐食程度の厳しさ」として提案した.
著者
一宮 一夫 佐川 康貴 山本 武志 藤山 知加子 千々和 伸浩
出版者
大分工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2022-04-01

石灰石を主原料とするセメントは,製造時のCO2の大量排出,天然資源の消費抑制の点で課題がある。一方,セメントと同等以上の性能を有し,国内外で研究開発が進行中のアルカリ活性材料(AAMs)は,石炭火力発電が縮小・廃止されると,主要材料のフライアッシュ(石炭灰)の確保が困難になる。本研究では,火山堆積物や木質バイオマス灰などの各種未利用資源をAAMsへ適用するための,材料調整方法や施工法を開発する。
著者
佐川 康貴 山田 一夫 烏田 慎也 江里口 玲
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.135-145, 2014 (Released:2014-09-15)
参考文献数
9
被引用文献数
3 2

国内で産出する安山岩をペシマム混合率で混合したコンクリート供試体を作製し,加速および暴露試験を行った。両試験で,アルカリ総量3.0kg/m3以下である2.6kg/m3の条件で大きなASR膨張が認められ,暴露試験においては暴露期間780日で表面の膨張率は1250×10-6となり,反応性の高い骨材をペシマム条件で使用すると従来のアルカリ総量規制が不十分であり,この現象が加速試験でも検出できることが示された。ペシマム条件において,短期間では混合率15mass%以上のフライアッシュで抑制効果が得られたが,より長期の検討が必要である。鉄筋を配置した供試体では,鉄筋で拘束された内側コンクリートの膨張率が表面よりも著しく小さい結果となった。