著者
村瀬 香 佐藤 俊幸 奥田 圭
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

原発事故が野生動物の遺伝子に与える影響に関するこれまでの研究には、汚染度が異なる地域間で比較したものは報告されているものの、同じ場所で、事故前後の比較を行なった報告はほとんどない。そこで本研究では、事故前からサンプリングしているイノシシを研究材料として、汚染度が異なる地域間と、同じ地域の事故前後において比較し、イノシシの遺伝的組成の変化を明らかにすることで、野生動物の被曝影響を分析することを目的としている。昨年度は複数の地域でイノシシのサンプリングを行なった。その際、調査地域、性別、サイズなどの生態データを集めるとともに、既存のソフトではなくプログラミングを通じて解析しやすいようにデータを整理した。また、マイクロサテライトを用いたフラグメント解析とシーケンスを行なった。特に昨年度は、ゲルマニウム半導体検出器で汚染度を測定する目的ですり潰して時間が経過したサンプルを対象に、どのような実験条件なら塩基配列を決定することができるのかを検討した。その結果、比較的多くのサンプルで塩基配列を決定することができる条件が明らかになった。さらに、そのうちのいくつかのサンプルについては、ハプロタイプを決定することが出来た。学術論文としては、原発事故や自然災害などの緊急事態には、長期的な視野に立った従来の解析手法を選択するよりも、ベイズ法を用いた統計モデリングの方が有用であることついて啓蒙する論文を執筆した。
著者
倉地 卓将 村瀬 香織 西出 雄大 小山 哲史 佐藤 俊幸
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.122-127, 2013

注意欠陥多動性障害(ADHD)は多動性、不注意、衝動性により特徴づけられる主要な精神疾患である。この疾患は犬においても確認されている。この疾患に対して頻繁に使用されるメチルフェニデートは、ドーパミントランスポーターに作用して遊離ドーパミン量を増加させるため、ドーパミントランスポーターのADHD発症に対する影響が注目されている。ドーパミンはADHDにおいて重要な役割を担っているため、22頭のビーグル犬を対象にドーパミントランスポーターの遺伝子であるSLC6A3のDNA配列を決定した。ADHDの評価については、行動評価アンケートの記入を飼育者に依頼した。SLC6A3遺伝子の4ヶ所で多型が確認された。A157Tの遺伝子型がAAの犬、G762Aの遺伝子型がGGの犬、および2歳以下の犬は注意欠陥の点数が高かった。また、2歳以下の犬は自発的活動性と衝動性の点数も高かった。これらの結果は、犬のADHDとドーパミントランスポーターに関連があることを示唆する。しかし、どのような機序によるものかを明らかにするためには、さらなる研究が必要である。
著者
佐藤 俊幸
出版者
東京農工大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

チクシトゲアリ(Polyrhachis moesta)は樹上性のアリで、秋に結婚飛行を行い、交尾して翅を落とした女王が枯れ枝中の空洞で越冬し、翌春産卵を開始する。その際、50%近くの巣が複数の女王で構成され、女王どうし口移しの栄養交換さえ行うが、それらに血縁はないことがDNA指紋法により確かめられている(Sakaki,Satoh and Obara,1996)。女王間には餌交換行動や共同育児といった協力行動がみられる。しかし、成熟した巣は多くの場合単女王であることから、多雌創設巣の女王は巣の成熟過程で一個体をのぞき除去されるか、あるいは別の場所へ分かれていくものと推定される。では、なぜ多雌創設が進化したのだろうか?女王の体サイズ、生体重には単雌、多雌創設に関わらず有意差はないことが分かった。創設女王数の頻度分布がポアソン分布の期待値と一致していたことと考え合わせると、創設女王は個体の体サイズやボディコンディションに関係なくランダムに出会ったものどうしで多雌巣を形成していることが示唆された。また、多雌創設巣の女王は、より早く産卵を開始し、より多くのワーカーを育て上げられることが分かった。コロニーの初期の成長速度を速めることは、種内・種間の資源を巡る競争や補食圧の回避を考えると大変重要である。おそらく、野外においても単雌創設より多雌創設の方が、女王あたり期待される繁殖成功率は高いか、悪くても下回らないのではないかと考えられる。ただし、複数いる女王の全てがそのコロニーの女王としては残れず、次第に数が減少していくので、全ての女王が積極的に多雌創設を行うわけではないと考えられる。この種の多雌創設は、出会ったらする、出会わなかったらしない、という日和見的なものではないか。
著者
小原 嘉明 佐藤 俊幸
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

標記の研究課題を追求するために、下記の(1)から(3)の研究を行い、それぞれ下記の成果を得た。(1)ユーラシア大陸内とその近辺の島嶼における「まぼろし色」(紫外色)の翅の雌の分布についてこれについての概要を知るために、「自然史博物館」(ロンドン、イギリス)と「Zoologisches Forshungsmuseum Alexander Koenig博物館」(ボン、ドイツ)に所蔵されている関係地域のモンシロチョウ標本の紫外線写真を撮って紫外線の反射の有無および反射の強さを調査した。その結果、紫外線を反射する翅を有する雌はユーラシア大陸の東の沿海部のみにおいて観察されたこと、その他の、ヨーロッパ、中央アジア、地中海に面したアフリカ北部、およびカナリア諸島とキプロス島には観察されないこと分かった。(2)「まぼろし色」の翅を有する雌の進化について上記の結果と、紫外色の発現条件(幼虫時の長日条件)に基づいて、紫外色翅を有する雌のユーラシア大陸内での進化を追求するために、同大陸とその周辺の地域においてモンシロチョウを採集し、それから得た幼虫を長日条件下で飼育し、得られた雌成虫の翅の紫外色の有無およびその強度を調査した。その結果上記(1)の推測が支持された。すなわち、イギリスからキエフ(ウクライナ)間のヨーロッパでは紫外色を有する雌が見られないこと、北京(中国)およびソウル(韓国)から広州(中国)に及ぶ沿海部と台北(台湾)においてのみ紫外色を有する雌が棲息していることが分かった。またこれらの地域では紫外色を有する雌と有しない雌が混在していることも分かった。これらの結果から、紫外色を有する雌はユーラシア大陸の東方の沿海部近辺において進化したことが示唆された。(3)紫外色の遺伝機構について紫外色翅を有しないオランダのモンシロチョウと、それを有する日本のモンシロチョウを交雑して得られた結果を分析した結果、紫外色は複数の遺伝子座の遺伝子によって支配されていることが示唆された。
著者
丸中 照義 南 慶典 梅野 幸彦 安田 昭男 佐藤 俊幸 藤井 節郎
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.1795-1803, 1980-06-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
17
被引用文献数
7 4

Four metabolites of the antitumor agent 1-(tetrahydro-2-furanyl)-5-fluorouracil, formed in vitro by rat liver microsomes, were isolated by thin-layer chromatography or high-performance liquid chromatography. On the basis of mass spectrometry, 1H-NMR spectral analysis, and comparison with authentic samples, these metabolites were identified as 1-(trans-4-hydroxytetrahydro-2-furanyl)-5-fluorouracil, 1-(cis-4-hydroxytetrahydro-2-furanyl)-5-fluorouracil, 1-(trans-3-hydroxytetrahydro-2-furanyl)-5-fluorouracil and 1-(4, 5-dehydrotetrahydro-2-furanyl)-5-fluorouracil. These metabolites were also found in the plasma and urine of rats after administration of 1-(tetrahydro-2-furanyl)-5-fluorouracil.
著者
藤井 節郎 中村 芳正 武田 節夫 森田 健一 佐藤 俊幸 丸中 照義 川口 安郎 采見 憲男
出版者
The Japanese Cancer Association
雑誌
GANN Japanese Journal of Cancer Research (ISSN:0016450X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.30-44, 1980-02-29 (Released:2008-10-23)
参考文献数
14

The metabolism, antitumor activity, and acute toxicity of 5-fluoro-1, 3-bis-(tetrahydro-2-furanyl)-2, 4-pyrimidinedione (FD-1) were investigated in animals, compared with 5-fluoro-1-(tetrahydro-2-furanyl)-2, 4-pyrimidinedione (FT). It was found that after oral administration of FD-1, the level of 5-fluorouracil (5-FU) was maintained higher and longer than after administration of FT, and that a large amount of 5-FU was released from FD-1 by liver microsomal drugmetabolizing enzymes or spontaneous hydrolysis via 5-fluoro-3-(tetrahydro-2-furanyl)-2, 4-pyrimidinedione (3-FT) and FT. FD-1 had a significant activity against the solid form of Ehrlich carcinoma, sarcoma-180, hepatoma AH130, Yoshida sarcoma, Walker carcinosarcoma-256, and leukemia L1210 and P388, but not the ascitic forms, and it produced greater inhibition of tumor growth than FT. The acute toxicity of FD-1 was less than that of FT.
著者
川口 安郎 中村 芳正 佐藤 俊幸 武田 節夫 丸中 照義 藤井 節郎
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.525-536, 1978-04-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
14
被引用文献数
5 8

After oral administration of 5-fluoro-1, 3-bis (tetrahydro-2-furanyl)-2, 4-pyrimidinedione (FD-1), the level of 5-fluoro-2, 4-pyrimidinedione (5-FU) was 5 to 7 times higher in the plasma and normal tissues and 8 to 12 times in tumor tissue than after administration of 5-fluoro-1-(tetrahydro-2-furanyl)-2, 4-pyrimidinedione (FT). Moreover, these levels were maintained longer than after administration of FT. In tumor tissue, the concentration of 5-FU was still as high as 1.42 μg/g 12 hr after administration of FD-1. FD-1 was degraded to 5-fluoro-3-(tetrahydro-2-furanyl)-2, 4-pyrimidinedione (3-FT) by liver microsomal drug-metabolizing enzymes in vitro and to FT spontaneously. Subsequently, FT was converted enzymically to the active substance, 5-FU, and 3-FT changed to 5-FU spontaneously. Conversion of FD-1 to 5-FU via 3-FT was greater than via FT. It is concluded that a large amount of 5-FU formed after administration of FD-1 is formed via 3-FT. γ-Hydroxybutyric acid was found to be formed in vivo and in vitro from the tetrahydrofuranyl group of FD-1.
著者
川口 安郎 中村 芳正 佐藤 俊幸 武田 節夫 丸中 照義 藤井 節郎
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.525-536, 1978
被引用文献数
8

After oral administration of 5-fluoro-1, 3-bis (tetrahydro-2-furanyl)-2, 4-pyrimidinedione (FD-1), the level of 5-fluoro-2, 4-pyrimidinedione (5-FU) was 5 to 7 times higher in the plasma and normal tissues and 8 to 12 times in tumor tissue than after administration of 5-fluoro-1-(tetrahydro-2-furanyl)-2, 4-pyrimidinedione (FT). Moreover, these levels were maintained longer than after administration of FT. In tumor tissue, the concentration of 5-FU was still as high as 1.42 μg/g 12 hr after administration of FD-1. FD-1 was degraded to 5-fluoro-3-(tetrahydro-2-furanyl)-2, 4-pyrimidinedione (3-FT) by liver microsomal drug-metabolizing enzymes in vitro and to FT spontaneously. Subsequently, FT was converted enzymically to the active substance, 5-FU, and 3-FT changed to 5-FU spontaneously. Conversion of FD-1 to 5-FU via 3-FT was greater than via FT. It is concluded that a large amount of 5-FU formed after administration of FD-1 is formed via 3-FT. γ-Hydroxybutyric acid was found to be formed in vivo and in vitro from the tetrahydrofuranyl group of FD-1.