- 著者
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稲葉 宏
笠井 史人
國吉 泉
飯島 伸介
東 瑞貴
和田 真一
渡辺 英靖
佐藤 新介
水間 正澄
- 出版者
- The Showa University Society
- 雑誌
- 昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
- 巻号頁・発行日
- vol.71, no.6, pp.596-601, 2011
〔目的・方法〕回復期リハビリテーション病棟(以下回復期リハ病棟)には,入院に当たって発症・受傷・手術から入院までの入院時発症後日数(発病・受傷・手術より急性期病院を経て回復期リハ病棟へ入棟するまでの期間)が厳密に定められており,一定の入院時発症後日数を超えた患者は入院が困難となっている.そのため,リハビリテーションによる回復が見込まれる患者においても,入院時発症後日数の延長によりその機会を奪われてしまうと想像される患者の存在が以前から危惧されていた.そこで今回,われわれは,回復期リハ病棟設立以前に当院当科へリハビリテーション目的で入院した患者の入院時発症後日数・入院時発症後日数延長の原因・回復期リハ病棟在院日数と転帰(在宅復帰率)の調査を行う事により,入院時発症後日数の予後に及ぼす影響を検討・考察した.〔結果〕在院日数・転帰(在宅復帰率%)は,入院時発症後日数が設定期間内の患者群(I群73症例)91.7±64.8日・80.1%が,設定期間超過の患者群(II群34症例)109.7±58.8日・67.6%より良好な結果を示した.しかしながら,何れの結果も有意差を認めるまでには至らなかった.しかも,II群の多く(34症例中,原因判明は25症例・73.5%)は,再手術・併存症や併発症の治療等が入院時発症後日数延長の原因となっていた上に,II群においても十分なリハビリテーションの効果が発揮され,在宅復帰な症例が34症例中23症例(67.6%)存在した.これらの結果より,定められた入院時発症後日数を超過した事のみによる判断にて患者の回復期リハ病棟への受け入れが困難となる事は,大きな問題であり,入院後の医療体制を含めて改善の余地が大いにあるものと考えられた.