著者
布川 美穂 佐藤 靖子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.163-170, 2020-08-01 (Released:2020-09-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1

【目的】中学生を対象に牛乳に関する短時間教育を実施し,知識理解と牛乳飲用意志向上を含む意識変容を検討した。【方法】2017年8月から9月,中学1年生561名を対象に学校給食の牛乳に関する3分間の短時間教育(以降 3分教育)を実施した。3分教育は給食の時間等に誰でも簡単にできる口頭伝授の方法を用いた。その後,自記式質問紙にて学校給食牛乳に関する知識と意識調査を行い,7項目の質問項目では男女別のデータをχ2 検定,自由記述ではKJ法を用いて検討した。【結果】3分教育を受け,男子89.3%,女子93.5%の生徒が学校給食の牛乳に対して新しい知識を得ることができ,男子90.4%,女子93.8%の生徒が今後の教育を希望すると回答した。今後も毎日飲用したいと回答した生徒は,男子85.6%,女子73.5%であった。【結論】中学1年生に実施した3分教育においては,給食の牛乳に対する新たな知識を伝えることが可能であったが,今後も毎日飲用したいという意志向上の効果は把握できなかった。しかし,3分教育の継続希望が多かった結果より,継続的な教育の実施と,牛乳飲用意志向上を含む意識変容との関係性を検討していく必要が考えられた。
著者
佐藤 靖子 鈴木 惇
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】採卵を終えた廃鶏の肉は、膠原線維が発達して硬いため市場に流通することはなく処分されている。しかし、この硬い肉を軟化させて美味しく食する方法を見出すことは、タンパク質の有効な供給源として望ましいと考える。本研究では、食酢およびすりおろしたキウィの25%希釈液で前処理した廃鶏の肉について、好ましい肉の軟化状態を見出すことを目的とした。【方法】材料には、廃鶏のムネ肉を用いた。試料は、縦2.5cm×横2.5cmに切り出し、食酢およびすりおろしたキウィの25%希釈液に、5時間および24時間浸漬した後10分間茹でた。組織構造の観察は、10%ホルマリン液で固定後パラフィンに包埋して薄切し、ピクロシリウス染色を行った。官能評価は、10項目の評価項目について東北生活文化大学健康栄養学専攻の学生40人でおこなった。軟化度の測定は、クリープメーターにより破断荷重および破断歪率を測定した。【結果】食酢で前処理した肉では、膠原線維が部分的に大きく切断された、キウィで前処理した肉では膠原線維への影響は小さかった。破断荷重は、食酢で前処理した肉では、破断荷重および破断歪率ともに低下したが、キウィで前処理した肉では、破断歪率が低下しなかった。官能評価により最も好まれた肉の軟化は、食酢25%液に5時間浸漬した肉であった。この肉は、軟らかく歯ごたえが適度にあり、酸味が殆ど残らなかった。廃鶏の肉は、食酢25%液前処理後の調理への展開が期待できると考える。