著者
竹田 京子 佐藤 靖彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.23-00078, 2023 (Released:2023-12-20)
参考文献数
42

本研究では,繰返し移動輪荷重を受ける道路橋鉄筋コンクリート床版の破壊機構に基づいた疲労寿命予測法の構築を目的として,まず,破壊形式を整理して3つに分類し,破壊形式に応じた疲労寿命評価を行う必要性を示した.その後,実験的手法によりRC床版のはり状化部材の疲労破壊機構に基づく残存せん断耐力低下モデルの構築を行った.さらに,配力筋比,圧縮強度,支持条件の差異を考慮したせん断耐力式とS-N曲線式からなる疲労寿命予測法を提案し,輪荷重走行試験における一定荷重および階段状漸増荷重の評価,RCおよびPC床版の疲労寿命評価を可能とした.過去の輪荷重走行試験の実験データとの比較により,提案する疲労寿命予測法の適用性を確認した.
著者
尾崎 允彦 佐藤 靖彦 吉田 英二 竹内 彩 山田 雄太 永島 史晟
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.22-00289, 2023 (Released:2023-06-20)
参考文献数
24

過去のFRPシートの付着に関する研究は,FRPシートの剛性(シート剛性)が比較的小さい範囲が対象とされてきた.しかし,実際の補強では,構造物のスケールが大きいためFRPシートを積層化させる場合が多い.そこで,本研究では幅広い範囲のシート剛性を対象としたCFRPシート及びポリウレア樹脂を用いた付着試験を実施した.その結果,CFRPシートの積層化によりシート剛性が大きくなると付着耐力は増加するが,シート剛性が200kN/mm以上の範囲では既存の付着耐力式は実験値を過大評価することが明らかになった.また,剥離後のCFRPシートに接着したコンクリートの厚さである剥離深さを測定した結果,界面破壊エネルギーはシート剛性や樹脂の特性により決まるのではなく,コンクリート破壊面の表面積に強い関連性があることを見出した.
著者
竹田 京子 佐藤 靖彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.30-45, 2022 (Released:2022-02-20)
参考文献数
34
被引用文献数
1

せん断圧縮破壊に至るせん断補強筋を持たないRCはりのせん断抵抗機構とせん断疲労破壊機構の解明を目的として静的および疲労載荷試験を行った.サンプリングモアレ法による画像解析を用いて斜めひび割れ幅とずれ量を得ることで,既往のせん断伝達モデルによって骨材の噛み合わせによるせん断抵抗成分を算出するとともに,骨材の噛み合わせとコンクリート圧縮部によるせん断抵抗成分の分担割合の変化を示した.その結果,低サイクル疲労において,繰返し回数が増加しても骨材の噛み合わせによるせん断抵抗の損失は生じておらず,圧縮応力とせん断応力によるコンクリート圧縮部の疲労破壊がRCはりのせん断圧縮破壊を決定づけていると考えられることを実験的に明らかにした.
著者
長谷 一矢 横田 弘 佐藤 靖彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.270-282, 2020 (Released:2020-10-20)
参考文献数
17
被引用文献数
1

日本の最北端にある稚内港には,古代ギリシャ建築を彷彿させる北防波堤ドームがある.1936年に竣工したドームは,1981年の全面改修を経て,現在,再び劣化が顕在化してきた.ドームは構造が特殊で点検診断範囲が広大であり,対策の検討においては,部材性能の評価や補修範囲の決定方法が課題となった.そこで,広大な点検診断領域を格子状のエリアに細分化し,変状に基づき設定した5段階の劣化度で格付けした「劣化度マップ」を考案した.劣化度マップの活用により,広域変状の定量的な把握,鉄筋腐食状況の把握,エリア単位の合理的な予防保全のための補修が可能となる.本論文は,北防波堤ドームの維持管理をとおして,多面的な観点から作成する劣化度マップの考え方を整理し,劣化度マップに基づく補修判定の有効性を考察するものである.
著者
上田 多門 後藤 康明 長谷川 拓哉 濱 幸雄 田口 史雄 遠藤 裕丈 林田 宏 桂 修 加藤 莉奈 佐藤 靖彦 王 立成
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

寒冷地のコンクリート構造物は,コンクリート内部の水分が凍結融解を繰り返すことにより,凍害といわれる劣化が生じる.超音波を用いた実構造物における凍害の程度を測定する方法を提示し,凍害の程度と材料特性の劣化程度との関係を示した.乾湿繰返しや塩害と凍害との複合劣化のメカニズムを明らかにし,劣化をシミュレーションするための数値モデルを提示した.凍害を受けた構造物を増厚工法で補修補強した後の,構造物の挙動を数値解析するためのモデルを提示した.