著者
小泉 仰 佐野 勝男 萩原 滋 大久保 正健
出版者
慶應義塾大学産業研究所
雑誌
組織行動研究
巻号頁・発行日
no.5, pp.3-66, 1979-03

慶應義塾大学産業研究所社会心理学研究班モノグラフ ; No. 11Iはじめに- 多様化する価値観にせまる-現代の日本人は価値観の多様化と混乱現象のうちに陥っていると言われて,すでに久しいことである。こうした価値観の多様化現象は, 今日成人だけではなく, 幼児・小学校児童・中学校生徒をも捲き込んだ極めて広範酬の現象のように思われる。こうした価値観の多様化と混乱は,社会にとって良い方向に向う現象とも悪い方向に向う現象とも一概に言い切れないものを持っている。たとえば, ある一つの社会が仮りに等質的で一様な価値観のみを持っていると仮定してみよう。一体そうした社会は, その社会にとって良い状態なのであろうか。恐らくそうした社会は, 発展と飛躍を遂げるヴァイタリティを欠く社会である可能性が大いにある。またそうした等質的で一様な価値観を社会構成員に強制している極めて強大な権力機構さえ, 予想させる現象ではないだろうか。むしろ通常の現代社会は, 価値観の多様化を必然的に含んだダイナミヅクな社会であり, そうした価値観の多様化のゆえにダイナミックな発展と変質を予想できるものと言えよう。しかし他面において,価値観の多様化と混乱は, 社会構成員同志のコミュニケーションを極度に阻害したり, あるいはまた, いわゆる一種のアノミーの現象を社会構成員の間に引き起こして, 多くの社会問題の解決を一層困難ならしめる原動力にもなりかねないのである。
著者
井下 理 南 隆男 佐野 勝男
出版者
慶應義塾大学産業研究所
雑誌
組織行動研究
巻号頁・発行日
no.3, pp.41-70, 1977-09

モノグラフ・シリーズ ; No. 6本稿に報告される研究は, 「丙午」迷信を1966年の出生激減の主要因と確定してよいか- もしそうであるとすれぽ, 人々は,具体的にどのような行動をとって, 「丙午」迷信に感応したのか- について,可能な限りの既存の人口統計資料をとに追求したものである。しかるのち, 社会・心理学的諸要因との関連性をも分析し, 日本文化に潜む「社会心理構造」(societal structure of the Japanesemind)を抽出することを試みている。
著者
若林 満 南 隆男 佐野 勝男
出版者
慶應義塾大学産業研究所
雑誌
組織行動研究
巻号頁・発行日
no.6, pp.3-131, 1980-03

慶應義塾大学産業研究所社会心理学研究班モノグラフ ; No. 12当該研究プロジェクトの目標は, プロジェクト題目が示すごとく, わが国の大卒新入社員の組織内キャリア発達の過程を分析しそこに潜む動的なメカニズムを理解することであった。が,資料の分析はすべて, アメリカの大学(イリノイ大学労働産業関係研究所)の施設を利用しておこなわれた。残念なことではあるが, おそらく,日本の大学の研究施設に依存したならば, 文字どおリ"山" のごとくの厖大な資料から「キャリア発達過程」のメカニズムを発掘し析出していく作業は, もっともっと時間を要したことであろう。