著者
小泉 仰 佐野 勝男 萩原 滋 大久保 正健
出版者
慶應義塾大学産業研究所
雑誌
組織行動研究
巻号頁・発行日
no.5, pp.3-66, 1979-03

慶應義塾大学産業研究所社会心理学研究班モノグラフ ; No. 11Iはじめに- 多様化する価値観にせまる-現代の日本人は価値観の多様化と混乱現象のうちに陥っていると言われて,すでに久しいことである。こうした価値観の多様化現象は, 今日成人だけではなく, 幼児・小学校児童・中学校生徒をも捲き込んだ極めて広範酬の現象のように思われる。こうした価値観の多様化と混乱は,社会にとって良い方向に向う現象とも悪い方向に向う現象とも一概に言い切れないものを持っている。たとえば, ある一つの社会が仮りに等質的で一様な価値観のみを持っていると仮定してみよう。一体そうした社会は, その社会にとって良い状態なのであろうか。恐らくそうした社会は, 発展と飛躍を遂げるヴァイタリティを欠く社会である可能性が大いにある。またそうした等質的で一様な価値観を社会構成員に強制している極めて強大な権力機構さえ, 予想させる現象ではないだろうか。むしろ通常の現代社会は, 価値観の多様化を必然的に含んだダイナミヅクな社会であり, そうした価値観の多様化のゆえにダイナミックな発展と変質を予想できるものと言えよう。しかし他面において,価値観の多様化と混乱は, 社会構成員同志のコミュニケーションを極度に阻害したり, あるいはまた, いわゆる一種のアノミーの現象を社会構成員の間に引き起こして, 多くの社会問題の解決を一層困難ならしめる原動力にもなりかねないのである。
著者
小泉 仰
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.247-266, 1958-11

「犯意がなければ犯罪はない。」この格率は多くの刑法学者によって支持されてきたとH・L・A・ハートは指摘している。それは犯罪行為の有無が犯意の有無によりきまるという意味である。このように心理的要素を行為に欠くことのできない要素と考えるのは刑法学者だけではない。過去のたいがいの倫理学者の考える行為も、熟慮、動機、意図、意志、決定、決意というような心理的要素を必要としており、それがなければ行為にならないと考えられている。アリストテレスの思慮にもとづく選択理論、カントの善意志説、シエーラーの愛説、功利論者の快楽説などいずれもそうである。現在でもわたしたちはC・I・ルイスやG・F・フーラニイ、W・F・バーンズやR・ヘエア、ノエルスミスの行為説のうちにこの見解を見つけることができる。これらの人人の考える心理的要素にはそれぞれ異った内容があるが、どれも肉体運動に対立した精神的または心理的要素を重視している点で共通である。そこでわたしたちはこの見解を行為の心理主義の解釈と呼ぶことができる。この心理主義の解釈をわたしたち自身もいままであまり批判的にならずにうけ入れてきた。わたしたちは行為を考えるときまず第一に動機は何か、意図は何か、意志は何かなどという問題にとりくむ。この研究態度は道徳的行為であるとないとをとわずすべての行為にこれらの心理的要素が共通にあるという前提を暗黙のうちにうけ入れていたのである。だから、動機、意図、意志、決定などの研究をすれば、全行為を研究することになると考えられていた。いったいこの考え方は正しいのであろうか。この小論文はこの問題に焦点をあわせよう。とくにH・L・A・ハートとA・I・メルデンは習慣的にさえなったこの考え方に対して興味のある批判をしている。わたしは、はじめにハートの二つの批判とメルデンの批判とを手がかりとしてこの問題を論じていくことにする。
著者
小泉 仰
出版者
慶應義塾福澤研究センター
雑誌
近代日本研究 (ISSN:09114181)
巻号頁・発行日
no.2, pp.423-456, 1985

福澤諭吉特集
著者
小泉 仰 坂井 達朗 小室 正紀 米山 光儀 岩谷 十郎 平野 隆
出版者
慶應義塾福沢研究センター
雑誌
近代日本研究 (ISSN:09114181)
巻号頁・発行日
no.30, pp.1-34, 2013

特集 : 慶應義塾福沢研究センター開設三十年#座談会センター草創期の頃没後百年事業とセンター創設二〇年を迎えたセンター : 専任教員体制の確立義塾一五〇年・生誕一七五年記念事業センターの「カルチャー」 : その総合性と自立性センターの果たす役割について : その"ウチ"と"ソト"ユニバーシティ・ミュージアムについてセンターの"これから"
著者
小泉 仰 坂井 達朗 小室 正紀 米山 光儀 岩谷 十郎 平野 隆
出版者
慶應義塾福沢研究センター
雑誌
近代日本研究 (ISSN:09114181)
巻号頁・発行日
no.30, pp.1-34, 2013

特集 : 慶應義塾福沢研究センター開設三十年#座談会センター草創期の頃没後百年事業とセンター創設二〇年を迎えたセンター : 専任教員体制の確立義塾一五〇年・生誕一七五年記念事業センターの「カルチャー」 : その総合性と自立性センターの果たす役割について : その"ウチ"と"ソト"ユニバーシティ・ミュージアムについてセンターの"これから"
著者
小泉 仰
出版者
慶應義塾福沢研究センター
雑誌
近代日本研究 (ISSN:09114181)
巻号頁・発行日
no.29, pp.241-266, 2012

論説一 エマソンとユニテリアン・キリスト教との対立二 エマソンと中村敬宇三 エマソンと内村鑑三四 エマソンと北村透谷五 結び
著者
小泉 仰
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.45-71, 1962-09

I have tried in this paper, first, to describe main trends of present-day American moral philosophy and, second, to give a list of the important books and articles written by those philosophers who are representatives of the trends. I adopt the categories which are coined by Professor William K. Frankena of the University of Michigan and are ordinarily made use of in American philosophy: normative ethics and meta-ethics. Meta-ethics is still further subdivided into four: ethical naturalism, anti-descriptivism, intuitionism, and others. The list of books and articles follows the order of the categories mentioned above. I choose the books which are the most important and are very often debated by many philosophers in the field of normative ethics and meta-ethics, and the articles which I find important in the following magazines from 1930 to January 1962:- Ethics, Journal of Philosophy, Mind, Philosophical Quarterly, Philosophical Review, Philosophical Studies, Philosophy and Phenomenological Research.
著者
小泉 仰
出版者
国際基督教大学
雑誌
アジア文化研究 (ISSN:04542150)
巻号頁・発行日
no.38, pp.61-74, 2012
著者
小泉 仰
出版者
慶應義塾大学
雑誌
哲學 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.1-21, 1967-03

第五十集記念号Amane Nishi's practical logic seems to represent the typical way of thinking in which the late-nineteenth-century Japanese beaurocrats and thinkers had dealt with the economic, political and strategic pro-blems they encountered after the Meiji Restoration. Furthermore, it seems to me that his practical logic shows a still living one in our present-day ordinary life. In this sense, it is very interesting for us to clarify his practical logic. I have tried in this paper to describe how Nishi developed his practical logic, and discuss how he applied it to various fields such as political, economic and strategic fields. By doing so, I trace J. S. Mill's, H. Spencer's and I. ant's influences upon Nishi's thought also.