著者
渋井 宏美 佐野 雄三
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.107-116, 2022-07-25 (Released:2022-07-30)
参考文献数
30
被引用文献数
1

軟X線写真法は,木材の密度プロファイルの取得をはじめとして,木材科学および関連分野において広く用いられてきた。しかし,樹皮の構造解析には汎用されてはいない。そこで,北海道産12樹種の樹皮組織の軟X線写真撮影を行い,樹種ごとの特徴を調べた。高コントラストの軟X線透過像が得られた。各樹種の濃淡パターンは,樹皮の解剖学的な特徴とともに,カルシウム(Ca)結晶の偏在を反映していることが明らかになった。この結果から,軟X線写真法は植物全般に普遍的に存在するCa結晶の樹皮組織における集積場所を可視化するのに有効であると言える。光学顕微鏡観察では,同一の樹皮組織内に複数の形態タイプのCa結晶が存在する場合でも,厚壁組織にはもっぱら菱形結晶が随伴することが明らかであった。菱形結晶は,他のタイプのCa結晶とは機能が異なり,厚壁組織の力学的な機能を補強する役割をもつことが示唆される。
著者
熊木 俊朗 大貫 静夫 佐藤 宏之 設楽 博己 國木田 大 夏木 大吾 福田 正宏 笹田 朋孝 佐野 雄三 守屋 豊人 山田 哲 中村 雄紀 守屋 亮
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

擦文文化期における地域間交流や社会変化の様相を解明するため、北見市大島2遺跡にて擦文文化の竪穴住居跡の発掘調査を実施した。大島2遺跡は標高の高い尾根上というやや特異な環境下にあり、低地や砂丘上にある他の集落とは異なる性格を有することが予想されたが、発掘調査の結果、海獣狩猟や動物儀礼、住居の廃絶儀礼、建築木材の選択、木製品の様相などに、オホーツク文化やトビニタイ文化との関連を思わせるような特徴が認められることが明らかになった。