- 著者
-
保原 伸弘
- 出版者
- 行動経済学会
- 雑誌
- 行動経済学
- 巻号頁・発行日
- vol.3, pp.262-265, 2010
前々回,前回発表した,ヒット曲性質と経済状況の関係に続いて,同じコンテンツ産業に関する分析として,今回は映画のジャンルに注目する.それにより,少なくとも日本に関する限り,ある特定のジャンルと経済状況とが有意な相関があることが確認できた.現実肯定型のアクションとシリアスはDIと正の相関,現実逃避型のSFと恋愛はDIと負の相関であった.さらに今年は単なる事象の記述にとどまらず,企業行動への応用も議論する.すなわち,この相関に則って映画会社が行動した場合,その年の営業成績も好調だし,その法則に則って行動しない場合,その年の営業成績も不調になる.とりわけ,米国からの買い取りの場合,この法則に則って,封切するタイミングが重要となる.以上を論じた後,前々回と前回得られたヒット曲のデータも合わせて,それらを社会心理のあらわれと考えた場合,実際のマクロ経済にどう影響を与えているかまで考察する.