著者
森本 直樹 倉田 秀一 沖津 恒一郎 砂田 富美子 赤池 康
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.146-150, 2013 (Released:2013-10-09)
参考文献数
22

Collagenous colitis (CC) は,従来比較的まれな疾患と考えられてきたが,疾患概念の浸透とともに報告例が増加している。本邦では特にランソプラゾール (LPZ) に関連した症例の報告が多く,当院でも直近の1年間で3例を経験した。代表的な1例を提示する。症例は84歳,女性。他院処方のLPZを内服中。3か月間持続する水様性下痢の精査のために全大腸内視鏡検査を施行した。大腸粘膜は下行結腸近位部にわずかな毛細血管増生を認める以外に異常所見は認められなかったが,大腸各部位から生検を施行しCCと診断した。LPZを中止したところ2週間後には下痢は改善した。他の2例も慢性下痢症で受診され,内視鏡を施行して組織学的にCCと診断,内服中のLPZを中止することで比較的速やかに症状の改善が得られた。慢性下痢症の鑑別診断においては,本疾患も念頭にいれて,薬剤服用歴など詳細な病歴の聴取や,生検検査を含めた内視鏡精査を行なうことが重要と考えられた。
著者
清水 都 小島 美樹 井下 英二 真田 依功子 大森 智栄 倉田 秀 森崎 市治郎
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.241-250, 2022 (Released:2022-11-15)
参考文献数
30

歯科疾患や口腔の不健康とメタボリックシンドロームとの関連が,多くの疫学研究で報告されている.本研究では,壮年期男性における口腔の自覚症状とメタボリックシンドロームおよびそのリスク因子との関連を調べることを目的とした.歯科・医科健診データを用いて,4年間の後ろ向きコホート研究を行った.42歳時点で,メタボリックシンドロームがない者3,519人,肥満(高BMI)をもたない2,574人,高血圧症(高収縮期血圧かつ/または高拡張期血圧)をもたない者2,785人,脂質異常症(高中性脂肪かつ/または低HDLコレステロール)をもたない者2,879人,高血糖症(高空腹時血糖)をもたない者3,604人を解析対象とした.これらの項目別に,46歳時点で各項目を有する者の割合を,42歳時点における口腔の自覚症状の有無で比較した.ロジスティック回帰モデルを用いて交絡要因を調整したオッズ比と95% 信頼区間を算出した.その結果,生活習慣調整モデルでは「う蝕あり」と「歯肉出血」は高血圧症と,「歯肉出血」と「歯肉腫脹・疼痛」は高血糖症と有意に関連していた.生活習慣に加えて全身状態を調整したモデルにおいても,「歯肉出血」と高血圧症,「歯肉腫脹・疼痛」と高血糖症との関連は有意であった.以上の結果より,壮年期男性において,特に歯周病に関係する症状の自覚が,メタボリックシンドロームのリスクとなる状態の発症と関連することが示唆された.
著者
三船 恵美 天児 慧 堀本 武功 小笠原 欣幸 倉田 秀也 野口 和彦
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

中国と、東南アジアから南アジア・中央アジア・西アジアにかけての中国の周辺地域との関係構造と戦略に関する体系的な分析を行い、3年間の研究成果として、全メンバーの執筆による、天児慧・三船恵美編著『膨張する中国の対外関係-パクス・シニカと周辺国』頸草書房、2010年、を出版する。また、国際シンポジウムの成果として、Srikanth Kondapalli and Emi Mifune (eds.), China and its Neighbors, New Delhi : Pentagon Press, 2010)を出版し、本研究プロジェクトの成果を国内外に広く社会に公表した。