著者
亀井 邦裕 児玉 公信 細澤 あゆみ 成田 雅彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.1351-1362, 2015-05-15

企業情報システムは変化する企業環境に対し,柔軟で機敏な対応を迫られている.そこで稼働するビジネス系アプリケーションは短期間での構築が可能で,なおかつ変化に強い構造を持っており,再利用開発が可能でなければならない.それは経験に裏打ちされた合理的な概念構造を持ち,変化する部分と固定部分が明確に分かれた実装構造となっているはずである.本論文は,そのようなアプリケーションを開発するための1つの取組みとして,概念モデルに基づく実装方法を試行し,消費税計算などの公開可能な題材を用いた概念モデル,実装モデルなどを成果として提示する.
著者
児玉 公信
雑誌
研究報告 情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2012-IS-120, no.3, pp.1-8, 2012-05-28

基幹情報システムをシステムアプローチに基づいて改革的に再構築するための方法を提案する.システムアプローチでは,問題の解決に原因除去を行わない.本方法では,問題が解決された新しいシステムを構想するために業務シナリオを書いて,業務構想書 (Concept of Operations) としてまとめる.それに基づいて仕事を設計し,その仕事の遂行を支援する機能を発明してユースケースとして記述する.企業情報システムを 4 つの管理階層と 3 つの業務相でドメインを分割し,その単位でドメインモデルを描く.これを中心とするようにユースケースを配置してサブシステムモジュールとし,その間を疎結合するインタフェースを設計する.こうしてできたユースケース,ドメインモデル,アーキテクチャを整合するよう調整して,要求仕様とする.
著者
平山 雅樹 新野朝丈 児玉 公信 松澤 芳昭 太田 剛
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.1-7, 2011-03-07

学生が初めてのソフトウェア開発プロジェクトを経験する中で直面した問題について報告する.対象とする開発プロジェクトは,企業が実際のシステムを外注する際に使用した仕様書を基にしており,企業のソフトウェア開発と同程度の品質を目指すものである.プロジェクトの規模は10人月程度で,アジャイル開発プロセスが試みられた.現在進捗している段階まで,生じた問題について記述して種類を整理した結果,作業の目的の理解不足とリスクの意識不足に起因する問題であることが分かった.In this paper, we report our experience that students faced in the first IS (Information Systems) development project. The project was driven by the RFP (Request For Proposal) which was used in the real situation when the project owner ordered to developers. Although the developers were not students, students tried to develop the system as the same quality as professionals do. Agile process was applied to the project, and the size of the project is approximately ten man-months. Now the project has proceeded to the middle of the goal, and problems that were happened in the project until now were described and classified. Then we have found that the problems are caused by "losing the objective of the work" and "lack of focusing the risk management".
著者
戸沢義夫 児玉公信
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2013-IS-125, no.4, pp.1-7, 2013-09-05

本研究会 「情報システムの有効性評価」 研究分科会では,情報システムを,人を含む複雑系と見た上での評価手法について 2010 年 9 月より議論を行い,量的評価のためのガイドラインを 2012 年 4 月に公開した.一方,質的評価についても継続的に議論を行い,2012 年 9 月には FIT2012 において質的評価に関するシンポジウムを主催するなど,精力的に活動し,このほど質的評価のためのガイドライン原案をまとめた.質的研究は,これまでの自然科学的アプローチとは大きく異なるものであり,その本質を正しく理解しておく必要がある.原案の内容を説明し,研究発表会参加者からの多くのコメン卜をいただくことで,最終案に反映したい.
著者
児玉 公信
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.6, pp.1-6, 2010-11-19

複数の人間活動システムが,それぞれの仕事を独立に実行しながら,一方で連携する状況は,ビジネスのシステムではよく見られる.しかし,独立したシステムはそれぞれ微妙に異なる意味論を持っており,システム間のコミュニケーションにおいて誤解やムダを発生させる原因となっている.また,こうしたシステム間連携が,互いのビジネスプロセスにコミットすればするほど,意味論,プロトコル,媒体の多様化が必然となり,コミュニケーション形態の多様性は爆発する.これは,EDI (Electronic Data Interchange) の決定版がいまだ存在しないことを見ても分かる.本報告では,こうしたビジネスシステム間のコミュニケーションが本来,共約不可能性を含意することを前提としつつ,その多様性をどのように制御できるかについて,概念モデリングを援用して試論する.The situation in which several Human Activity Systems cooperate while executing a work by themselves is frequently seen in business systems. However, each system has slightly different semantics, and it causes the misunderstanding and uselessness in the communications among the systems. Further, as such systems commit more tightly with each business processes, the diversification of semantics, protocols, and medium becomes more inevitable, and the diversity in the communications explodes. The fact that the definitive edition of EDI (Electronic Data Interchange) has not been present proves it.In this report, assuming that the communication among such business systems implies the incommensurability, we discuss tentatively how the diversity can be controlled from the viewpoint of the conceptual modeling.