著者
上野 田鶴子 山田 泉 八代 京子 箕口 雅博 田中 望 甲斐 睦朗
出版者
東京女子大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1992 (Released:1994-03-23)

外国人技術研修者が生活の場でどのようにして日本人と関わり、コミュニケーション・ネットワークを形成していくのか,その際の問題は何か,それに対して日本語教育はどのような対応が可能であるかを明らかにすることを目的とし,インタビュー調査等を用いたエスノグラフィック調査により,長野県小諸市を中心に調査を行い以下の結果を得た.1)技術研修者を含む外国人のネットワーク形成にはボランティア的支援を行う日本人の側のネットワークの存在が前提となる 2)日本人のネットワークには,外国人の危機状況に応じて支援を行う危機対応ネットワークと日常的なコミュニティ・ネットワークとがある.3)小諸市においては危機対応ネットワークには病気,怪我に対応する医療関係の医師ネットワーク,法律の問題に対応する弁護士ネットワーク,タイ語,タガログ語などができる日本人ボランティアネットワーク等がある.4)コミュニティ・ネットワークとしては,まだ明確なものは形成されていないが子供たちをキ-として保育園に形成される母親たちのネットワーク,外国人と結婚した日本人を中心としたネットワーク等が萌芽的な形で存在している.これらの地元の支援グループと外国人グループとの共同の活動を通して行うアクション・リサーチを行い,調査を継続し,さらに具体的な内容と問題の検討を行った.日本語教育関係の活動としては,こもろ日本語教室が試験的に開かれたが,これは当面ボランティア教師の養成を中心に,市民の間に外国人日本語を教えることの意味を考える場を提供することを目的としている。本研究は今年度で科学研究費補助金による調査研究を終了したが,アクション・リサーチの中で提起された問題については今後も引き続き調査研究を行う予定である.