著者
市野 順子 八木 佳子 西野 哲生 小澤 照
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.1171-1183, 2019-04-15

本稿では,グループディスカッションを支援するために提示するフィードバックの,モダリティと提示対象者の要因が,グループメンバのコンピュータに対する反応に与える影響を検討する.我々は,企業の実際のブレインストーミングをフィールドとした実験を行い,4つのフィードバック条件――3つは触覚モダリティ(椅子の振動)を使用し,1つは視覚モダリティ(スポットライトの点滅)――を比較した.触覚モダリティを使用した3つのフィードバック条件は,フィードバックの提示対象者が異なる:(1) 参加が期待されるメンバ(潜在的話者)にのみ提示,(2) 現在発言中のメンバ(現行話者)にのみ提示,(3) 全メンバに提示.実験の結果,モダリティの要因に関しては,触覚は視覚よりも,議論への集中を妨げない程度ではあるが議論からメンバの注意を逸らし,フィードバック提示直後のターンテイキングを促した.提示対象者の要因に関しては,全メンバあるいは現行話者に提示する方が,潜在的話者に提示するよりも,ターンテイキングを促した.その一方で,潜在的話者に提示する方が,現行話者に提示するよりも,メンバは,システムの意図がわかりやすく,快適だと感じた.
著者
鈴木 恭子 八木 佳子 小林 あゆみ 矢本 真也 福本 弘二 渡邉 誠司
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.20-24, 2019 (Released:2019-04-20)
参考文献数
8

重症心身障がい児(以下、重症児と略)は、栄養管理上の問題点を多く抱える。栄養摂取経路は、摂食・嚥下障害のため経管になるが、経鼻胃管の例もまだまだ多く、ましてや長期間経腸栄養剤のみで管理されてしまう例も少なくない。近年、胃瘻を積極的に導入し、同時に、ミキサー食推奨の報告も多くなってきた。ミキサー食は、重症児によくみられる消化器症状や、食後高血糖にも効果があるほか、経腸栄養剤で不足しがちな微量栄養素や食物繊維の補給などにも有効である。また、糖質のコントロールや食物アレルギーの対応なども自在に行える。液状栄養剤と異なり、児に負担をかけず短時間注入も可能である。重症児の健やかな発育を援助し、胃瘻からのミキサー食のメリットを生かすには、管理栄養士による指導が不可欠である。