- 著者
-
片寄 晴弘
八木 昭宏
- 出版者
- 関西学院大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2004
本研究では,fNIRS(functional Near Infrared Spectroscopy)を用いた脳活動計測と内観調査とを併せて,音楽系ゲーム実施時の「没入感」の分類と要因分析を実施した.具体的には,1)情緒あふれる人間の演奏をテンプレートとして利用するオリジナルの演奏インタフェースiFPを用いた「操作インタフェースの差異」,「楽曲の嗜好」,「演奏する,聞く等の音楽に対するモードの差」を比較条件とした前頭前野(dorsal prefrontal cortex : DPFC)における脳活動計測,2)和太鼓によるリトミックセッションを題材とした「音色や振動の効果」に関するDPFCと側頭葉における脳活動計測,「インタラクションの効果」に関するDPFCにおける脳活動計測,3)格闘ゲームにおいて,人とプレイする場合(visible条件,および,invisible条件)と機械相手でプレイする場合でのDPFCにおける脳機能計測を実施し,比較検討を実施した.上記の実験結果から,音楽を題材とする際,少なくとも大きくわけて二つの「没入感」:「うっとりする」タイプの没入感,「わくわくする」タイプの没入感が存在し,それぞれの差がDPFCにおけるoxyHbの下降,上昇という形でとらえられる可能性が高いことを確認した.また,要因に関して,「うっとりする」タイプの没入感については,音楽的嗜好,利用インタフェースに対する慣れ,「演奏する,聞く」等の音楽に対するモードの差が影響を及ぼすこと,「わくわくする」タイプの没入感には,「他者とのインタラクション」「音・振動の効果」が影響を及ぼしている可能性が高いことを確認した.