著者
八木原 俊克
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.81-88, 2012 (Released:2012-11-15)
参考文献数
28

修正大血管転位は房室錯位を伴い, かつ解剖学的右室が体心室に, 解剖学的左室が肺心室になっている特徴がある. 最終目標になる外科手術は, 解剖学的右室を体心室としたまま種々の合併する形態異常を修復して血流動態を機能的に回復させる“機能的修復手術”と, 同時に解剖学的左室を体心室に変換する“double switch手術”とに分けられる. 前者は心室中隔欠損閉鎖, さらに肺動脈弁狭窄解除ないし左室-肺動脈流出路再建を加える手術, 三尖弁逆流に対する弁置換/形成, などが主なものであり, 後者は心房スイッチを行うことで, いわば修正大血管転位を完全大血管転位に変換したうえで, 同時に動脈スイッチ, または心室大血管スイッチ(Rastelli手術)を行う手術で, それぞれにさまざまなオプションがある. 近年, 両者の手術成績は著明に向上しているが, 特にdouble switch手術の長期遠隔予後にはまだ不明な点があり, その適応, 術式選択などには課題が残されている.
著者
松崎 多千代 松井 三枝 中澤 潤 市田 蕗子 八木原 俊克
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.308-312, 2008-07-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
12

Bayley乳幼児発達検査 (BSID-II) は先天性心疾患児の発達評価として世界的に使用されているが, 日本版は作成されていない. そこで, 本邦でのBSID-IIの導入を目的として, 1歳心疾患児と健常児にBSID-IIを施行した. その結果, 健常児の値は米国基準より低値であり, 心疾患児は我が国の健常児より運動発達全般が遅延していた. 津守式乳幼児精神発達質問紙では両群に得点差はなかった. BSID-IIと乳幼児精神発達質問紙には項目間の高い相関関係が確認された. BSID-IIを施行するにあたって翻訳上や用具等の問題はなく, 我が国でも乳幼児の発達評価として有用であることが示唆される.