著者
工藤 彰 八桁 健 小澤 基弘 岡田 猛 萩生田 伸子
出版者
大学美術教育学会
雑誌
美術教育学研究 (ISSN:24332038)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.145-151, 2017

<p>本研究は総合大学のドローイング授業で継続的に実施された省察の効果を検討することを目的とした。表現力や創造力に繋がる能力を獲得するためには,学生が積極的に自己表現を探索することが重要である。このような観点から自己発見を促すと考えられる主観的素描(ドローイング)を取り入れ,毎週教師との対話を通して表現主題や意図等を言葉にする省察的授業を行った。本研究では,学生が自分と他者のドローイングについて記述した授業感想文をテキストマイニングすることにより,表現方法や芸術表現の捉え方などの芸術創作プロセスに対する学生のイメージや態度の変化を検討した。その結果,授業後半で他の学生の表現方法に目を向けることや,他者の感想文の中でも自分と比較しながら振り返りが行われていることが示唆された。以上より,テキストマイニングが授業感想文にも適用できるものとして,その方法論の有効性を論じた。</p>
著者
横地 早和子 八桁 健 小澤 基弘 岡田 猛
出版者
大学美術教育学会
雑誌
美術教育学研究 (ISSN:24332038)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.409-416, 2016

本研究は,美術科系の教師を目指す学生の絵画教育の授業において学生が制作したドローイングを他者が評定を行い,授業効果を検討することを目的とした。子どもの表現力や創造力の伸長を支援する能力を獲得するためには,学生自身が積極的に自己表現の探索を行うことが必要である。こうした観点に基づき,自己発見を促すと考えられるドローイングを毎日制作し,それを毎週教員らに説明するという省察的な授業を行った。本研究では,制作されたドローイングを初期,中期,後期に分け,表現主題の自覚と技能を他者が評定し,その変化を検討した。結果,主題と技能に変化は認められなかったものの,100枚以上ドローイングを制作した学生とそうでない学生とでは,100枚以上制作した学生の主題の自覚性が高いことが分かった。こうした違いについて両者の授業中の発話についても比較検討し,考察を行った。