著者
村山 留美子 内山 巖雄 中畝 菜穂子 岸川 洋紀
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

全国の成人を対象とし,一般市民のリスクや科学技術に関する認知レベルとその構造の把握のための調査を行った。その結果,1)17の項目について,それぞれの項目が持つ特徴的な認知構造について明らかにした。日常良く使用するものや科学技術では,必要性や恩恵を感じている場合,危険度の認知が低くなる傾向が示された。2)東日本大震災一年前の市民の地震へのリスク認知は非常に高かった。特に京浜,東海地域で意識が高く,一方で東北地方はやや低くなっていた。また,原子力発電所については,生活への必要性が高いと認知されている項目であった。半数以上が危険であると認知し,安全性がないとの意識を持っていたが,他の項目から相対的に見た場合,その意識はそれ程高くなかった。東日本大震災とそれに伴う原子力発電所の事故を鑑み,大地震や原子力発電所等の電力供給源については東日本大震災以後大きく認知構造が変わる可能性があり,今後もその変動を検討する必要がある。
著者
熊江 隆 荒川 はつ子 内山 巖雄
出版者
国立公衆衛生院
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

ラットを用いた基礎的研究の成果を多くの学会に報告した。Wistar系ラットでは、成熟後の22週齢から45週齢において非特異免疫能に変化が認められた。さらに、通常飼育の対照群と強制運動群及び自発的運動群の体重に著明な違いが認められたが、隔離ストレス群と対照群の体重はほとんど差がなかった。また、肺胞マクロファージの活性酸素産生能には、これらの群間でほとんど差が認められなかった。肺における生体内活性酸素バランスをみるために、ミトコンドリア及びミクロソーム分画におけるスーパーオキシド産生、抗酸化機構としてスーパーオキシドディスムターゼ活性等の測定を行ったが、これらの群間でほとんど差が認められず、成熟後からのストレス負荷では生体内活性酸素バランスへの影響が小さいように思われた。また、肺胞マクロファージ活性をみる目的で行った蛍光測定に関する研究成果はLuminescenceに掲載された。一方、食事調査方法の開発、競技選手の食習慣等の調査成績、さらに心理的調査に関する知見はEnviron.Health Prevent.Med.、臨床スポーツ医学、体力・栄養・免疫学雑誌に掲載された。また、大学駅伝選手における好中球の活性酸素種産生能の変化を検討した結果はInt.J.Sports.Med.に掲載され、ジョギング愛好家のNatural Killer細胞活性と好中球の活性酸素種産生能の変化を検討した成果はJ.Phys.Fit.Nutr.Immunol.に掲載された。さらに、血清より生体内活性酸素バランスを評価する方法として、活性酸素種の消去能力をみる総抗酸化能の測定方法を確立し、その機序や大学駅伝選手における変化について学会で報告した。一方、65歳以上の地域住民を対象者とし、運動習慣の有無による生体内活性酸素バランスの違いを血清の抗酸化物質量や総抗酸化能等を測定して検討したが、男女共に運動習慣の影響は認められなかった。