著者
内田 淳史 梅野 健
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.79-79, 2006

多くの非線形システムは、カオスまたはノイズ等の繰り返し入力された信号に対して一貫性(consistency)のある振る舞いを示す。一貫性とは、初期状態の異なる非線形システムが、ある信号により繰り返し駆動される場合に得られる非線形システムの出力の再現性のことである。非線形システムにおける一貫性は生体システムにおける情報伝達や流体中のパターン形成などに本質的な役割を示す。本講演ではコーシー分布を有するカオスマップに外部駆動信号を加えた場合の一貫性を定量的に評価し、一貫性の生じる本質的要因について議論する。一貫性とは一般化カオス同期の拡張概念であり、カオス同期よりもさらに普遍性の高い概念だと考えられる。
著者
内田 淳史
出版者
拓殖大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、情報理論的セキュリティに基づく暗号鍵発生方式を提案し、超高速レーザカオスを用いてこれを工学的に実装することを目的とする。特に相関乱数暗号の要素技術として、共通カオス信号により駆動された半導体レーザカオス同期および相関の制御を実験的に実現した。本実験では、3つのDFB半導体レーザ(それぞれDrive、Response1、Response2と呼ぶ)を用いた。外部鏡を用いてDriveに戻り光を付加することでカオスを発生させた。Driveの緩和発振周波数とRepsonse1, Response2の緩和発振周波数を異なる値に設定した。Driveからのカオス的レーザ光を、ビームスプリッタ(BS)を調整することでRespoense1とResponse2に注入させた。このときDrive-Response間では低い相関、Response1-Response2間では高い相関を確認した。次にResponsel、Response2にそれぞれ外部鏡を用いて戻り光を付加させた。Response1の外部鏡の距離をピエゾステージによりナノメータ(nm)単位で変化させ、Response1の戻り光の位相を変化させることにより、2つのResponseレーザカオス同期波形の相関の制御を行った。その結果、戻り光の位相が一致したときの2つのResponse間の時間波形は一致しており、相関値を計算したところ0.907と高いことが分かった。一方で、戻り光の位相が一致していないときの2つのResponse間の時間波形は一致しておらず、相関値も0.076と低いことが分かった。以上より、戻り光の位相を変化させることで、Response1-Response2間の相関を制御可能であることが実験的に確認された。本特性は相関乱数暗号方式への応用における要素技術として非常に重要である。