- 著者
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松本 健志
田中 正夫
内藤 尚
中村 匡徳
- 出版者
- 大阪大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2008
骨折後の早期離床は安静・廃用による骨萎縮を軽減し,高齢者の寝たきりや骨粗鬆症の予防,若年者の正常な骨発達を助け,将来の骨粗鬆症罹患リスクを低減する.本研究では,β交感神経系を介した骨折の可能性について,特に骨修復早期に着目し,動物実験による検討を行った.脛骨皮質骨に欠損を作製したラットを尾部懸垂し,無処置(C), propranololでβ交感神経を遮断(PRO), desferrioxamineで血管新生を促進(DFO)した3群に対し,欠損作製後5日あるいは10日においてジルコニア・アガロース血管造影剤を注入した.各群の試料はジルコニアk吸収端の直上(18. 1keV)及び直下(17. 9keV)で放射光CTスキャンし,再生骨及び新生血管をイメージングした.術後5日目には3群とも血管新生が見られたが,その体積率はC群に比較してDFO群で有意に高く, PRO群では増加傾向が見られたのみであった.骨の再生については特にPRO及びDFOの処置による効果は確認できなかった.術後10日目には血管新生の体積率は3群で差はなくなったが,再生骨の体積率はDFO群で有意に高値を示した. PRO群では骨再生の増加傾向は見られたが,有意な効果は認められなかった.β交感神経遮断の骨修復への効果については,効果の濃度依存性や選択的遮断など,さらに詳細な検討が必要である.