著者
内野 隆之 坂野 靖行
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.128, no.1, pp.1-6, 2022-01-10 (Released:2022-02-01)
参考文献数
27
被引用文献数
2

An exotic block of garnet-bearing schist has been found at the boundary between the Early Triassic Takinosawa Unit of the Nedamo Belt and the Early Jurassic Nakatsugawa Complex of the North Kitakami Belt, NE Japan. This is only the second discovery of exotic schists in the Nedamo Belt; the previously identified schists occur at the boundary between the Takinosawa and early Carboniferous Tsunatori units of the Nedamo Belt. The garnet-bearing schist is characterized by a mineral assemblage of garnet + phengite + epidote + albite + quartz + titanite. Phengite with Si of 6.51-6.66 atoms per formula unit (O = 22) and the mineral assemblage suggest that the schist underwent high-P/T metamorphism prior to emplacement into its current position. The schist yields a phengite K-Ar age of ca. 290 Ma (late Paleozoic), suggesting a correlation with high-P/T schist of the Yamagami Metamorphic Rocks from the Motai-Matsugadaira Belt. This finding supports the extension of late Paleozoic high-P/T metamorphic rocks (i.e., the Renge Belt of SW Japan) to NE Japan.
著者
内野 隆之
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.109-118, 2021-05-19 (Released:2021-05-26)
参考文献数
25
被引用文献数
2 2

付加体中の玄武岩は沈み込む海洋地殻断片の一部であると一般に考えられている.北上山地の北部北上帯ジュラ紀付加体中の玄武岩も,主に海洋島起源と考えられているが,その研究は少ない.本研究では北部北上帯南西縁部に分布する前期~中期ジュラ紀付加体中の玄武岩6 試料の全岩化学組成を分析し,その起源を推定した.地球化学判別図や微量元素のスパイダー図から,4試料が中央海嶺玄武岩(MORB)の特徴を,2試料が海洋島アルカリ玄武岩の特徴を示す.つまり,北部北上帯南西縁部には海洋島型のみならず,MORB型の玄武岩が一定量存在することが明らかになった.
著者
内野 隆之 工藤 崇 古澤 明 岩野 英樹 檀原 徹 小松原 琢
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.67-85, 2022-08-29 (Released:2022-08-31)
参考文献数
35

盛岡市薮川地域,外山川沿いの谷底低地を埋める第四紀堆積物から80 cm厚の降下火砕堆積物を発見し,薮川テフラと命名した.本テフラは発泡した軽石を多く含み,中性~珪長質火山岩,トーナル岩,チャートなどの石質岩片を少量伴う.また,テフラ中には高温型石英・長石・普通角閃石・直方輝石・チタン鉄鉱・黒雲母が含まれる.テフラに含まれる火山ガラスの組成は比較的高いSiO2・K2Oと低いCaO・MgO・TiO2で特徴づけられ,またその屈折率は1.495 – 1.498である.軽石中のジルコンからは0.24 ± 0.04 Maのフィッション・トラック年代が得られ,本テフラはチバニアン期後半に堆積したと判断される.そして,記載岩石学的特徴,火山ガラスの屈折率,ジルコン年代などから,岩手山東麓に分布する大台白色火山灰に対比できる可能性がある.
著者
内野 隆之 栗原 敏之 川村 信人
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.4, pp.249-252, 2005 (Released:2005-08-01)
参考文献数
23
被引用文献数
22 27

Early Carboniferous radiolarians were newly discovered from siltstone of the Nedamo Complex in the Hayachine Terrane, Northeast Japan. This siltstone and other clastic rocks along with greenstone and chert are the components of an accretionary complex. Radiolarian fauna contains Palaeoscenidium cladophorum Deflandre that ranges in age from Early or Middle Devonian to Early Carboniferous. Since the Fe-Mn chert intercalated in a MORB-type basalt of the Nedamo Complex was assigned an age of Late Devonian (Hamano et al., 2002), the accretionary age of the Hayachine Terrane is no older than Late Devonian, most probable Early Carboniferous. This is the first report of an Early Carboni-ferous accretionary complex recognized by biostratigraphic data in Japan.
著者
内野 隆之 鈴木 紀毅
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.12, pp.1015-1033, 2017-12-15 (Released:2018-03-28)
参考文献数
64
被引用文献数
1

志摩半島の秩父累帯北帯の南東部に分布する白木層群の泥岩から放散虫化石を初めて見出した.Minutusolla cf. micheleiやStriatojaponocapsa synconexaなどの放散虫化石群集から,本層群の泥岩は中期ジュラ紀のバッジョシアン期~バトニアン期前半に堆積したことが判明した.本層群の南西延長部には,これまで黒瀬川帯の白滝層群が分布するとされていた.しかし,両層群の境界域を調査・研究した結果,岩相・地質構造・微化石年代の共通性が認められ,少なくとも本研究地域では白滝層群は北帯の白木層群に統合できる.それは,北帯と黒瀬川帯の境界が従来の見解よりも南に位置することを意味する.日本列島における秩父累帯北帯の基準ユニットである上吉田ユニット・住居附ユニット・遊子川ユニットの岩相と陸源性砕屑岩年代を整理・比較した結果,白木層群は上吉田ユニットに対比できる蓋然性が高い.
著者
内野 隆之 石田 直人
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.25-39, 2017-04-05 (Released:2017-04-12)
参考文献数
46
被引用文献数
2

三重県志摩半島の秩父累帯南帯には,中期~後期ジュラ紀付加体からなる築地層群と中期ジュラ紀~前期白亜紀浅海層からなる今浦層群が分布する.5万分の1地質図幅「鳥羽」を作成する過程で,両層群の泥岩から中期及び後期ジュラ紀の放散虫化石を見出し,多くの化石種を基に,より精度の高い堆積年代を示すことができた.築地層群の泥岩はカロビアン期前半~中頃を,そして今浦層群の泥岩はバトニアン期中頃~カロビアン期後半,カロビアン期後半~オックスフォーディアン期中頃,チトニアン期前半という3つの時代を示すことが明らかになった.これらの時代はこれまで報告されていた年代データの範囲に収まる.