著者
内野 隆之 工藤 崇 古澤 明 岩野 英樹 檀原 徹 小松原 琢
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.67-85, 2022-08-29 (Released:2022-08-31)
参考文献数
35

盛岡市薮川地域,外山川沿いの谷底低地を埋める第四紀堆積物から80 cm厚の降下火砕堆積物を発見し,薮川テフラと命名した.本テフラは発泡した軽石を多く含み,中性~珪長質火山岩,トーナル岩,チャートなどの石質岩片を少量伴う.また,テフラ中には高温型石英・長石・普通角閃石・直方輝石・チタン鉄鉱・黒雲母が含まれる.テフラに含まれる火山ガラスの組成は比較的高いSiO2・K2Oと低いCaO・MgO・TiO2で特徴づけられ,またその屈折率は1.495 – 1.498である.軽石中のジルコンからは0.24 ± 0.04 Maのフィッション・トラック年代が得られ,本テフラはチバニアン期後半に堆積したと判断される.そして,記載岩石学的特徴,火山ガラスの屈折率,ジルコン年代などから,岩手山東麓に分布する大台白色火山灰に対比できる可能性がある.
著者
小荒井 衛 小松原 琢 黒木 貴一 岡谷 隆基 中埜 貴元
出版者
国土地理院・地理地殻活動研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

芋川流域で火山灰分析に基づく段丘編年を行った.芋川流域で最も高位の段丘から浅間草津火山灰(As-K)が検出されなかったことから,この段丘面は16,500年以降に形成された面と推察される.段丘形成年代から小松倉背斜の成長速度の見積もると,0.8~1.9×10^<-6>/年となり,西山丘陵の活褶曲の成長速度や小千谷地区の活褶曲の成長速度と,オーダー的には同程度である.長野県・新潟県県境付近の地震では,逆断層の上盤側で,地質,地質構造,既存活断層の分布等に支配される形で地盤災害が集中しており,今回の地震に伴い松之山背斜が成長した可能性が指摘できた.