著者
毛利 孝 小原 秋穂 小西 一樹 田村 昌士 冨地 信和 石井 宗彦 工藤 国雄
出版者
社団法人 日本呼吸器学会
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.165-171, 1990

呼吸困難, 発熱の症状を示し, 胸部X線像, CT像ではびまん性粒状影を示したハト飼病の一例を報告した. ハト血清とハト排泄物に対する沈降抗体が検出され, 肺生検の病理所見では間質性肺炎の所見が得られた. ハト血清の吸入誘発試験では発熱, 白血球の増加, 肺活量の低下, P<sub>O<sub>2</sub></sub>の低下, CRPの陽性化の所見が得られハト飼病と診断した. BALでは回収細胞数の増加, リンパ球比率の増加が見られ, リンパ球サブセットでは, OKT8陽性細胞, HLA-DR陽性細胞が増加していた. 二重染色によるリンパ球表面マーカーの検索ではHLA-DR陽性細胞のほとんどはOKT8陽性であった. in vitro での末梢血単核球のハト血清添加による幼若化反応は陰性であったがステロイド治療の影響と考えられた. ガリウムシンチグラムでは肺野への集積は認められなかった.
著者
大浦 裕之 石木 幹人 広瀬 正秀 冨地 信和 高山 和夫 橋本 邦久
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.23-27, 2003-02-20

背景.骨内分化型骨肉腫は,長期の臨床経過をたどる低悪性度骨腫瘍として最近知られるようになった骨肉腫の1亜型である.その肋骨原発は非常に稀であり,今回報告する.症例.45歳男性,38歳時(昭和63年)より胸部X線写真上,右胸壁の異常影を指摘されていた.平成7年4月近医を再受診した際,腫瘤影の増大が認められ,同年6月当科紹介となった.胸部X線写真上では,右胸壁より上肺野に突出する4cm大の辺縁整の腫瘤影を認めた.胸部CTでは右第4肋骨に内部不均一な腫瘍を認めた.悪性骨腫瘍の可能性を考慮し同年7月18日手術を施行,右第4肋骨の部分切除および上下肋間筋の合併切除を施行した.術後の病理組織検査にて右第4肋骨原発の骨内分化型骨肉腫と診断された.術後は化学療法や放射線療法を施行しなかったが,約7年経過した現在,再発なく生存中である.結論.骨内分化型骨肉腫の組織診断は困難であるが,本例では組織学的に骨周囲組織への浸潤像がfibrous dysplasiaとの重要な鑑別点となった.さらに,腫瘍を完全切除できたことが,初回発見時より14年という長期生存に寄与したものと考えられた.(肺癌.2003 ; 43 : 23-27)