著者
太田 伸一郎 橋本 邦久 仲田 祐 佐藤 博俊 斎藤 泰紀 薄田 勝男 菅間 敬治 佐川 元保 佐藤 雅美 永元 則義 今井 督 須田 秀一
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.122-130, 1986
被引用文献数
9

自験例13, 222件の気管支造影像で発見された気管支分岐異常71例, 85件について検討した。分岐異常は, 中枢気道に関係する区域支までの異常に限定し, 右B^7の欠如・左B^7の存在・左右Bは分岐異常にいれなかった。分岐異常の出現頻度は0.64%であり, 右上葉の異常が全体の75.3%を占めていた。転位気管支の頻度は過剰気管支の7.2倍であり, 気管気管支が全体の31.8%を占め最も多かった。中支から上葉区域支が分岐していたものが10例あり, そのうち8例は, 残る上葉区域支も気管気管支で異常分岐であった。極めて稀な分岐異常としてdouble right tracheal bronchusの1例を経験した。気管支分岐異常に合併した奇形(ASD, 頸肋, 肋骨欠如)を検討し, これら奇形の発症時期と気管支の発生時期とが符合していたことから, 胎生5週初めから6週末までの子宮内環境が気管支分岐異常の発生誘因になりうると考えられた。
著者
斎藤 泰紀 赤荻 栄一 永元 則義 佐藤 雅美 岡田 信一郎 太田 伸一郎 今井 督 須田 秀一 橋本 邦久 仲田 祐 中川 潤 佐藤 博俊
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.151-161, 1984

喀痰細胞診により発見された胸部レ線写真無所見肺癌21例について, 気管支鏡検査による局在部位同定法とその所見を検討した。全例扁平上皮癌であったが, 亜区域支より末梢に局在するものがあった。11例は, 正常粘膜からの高さが約2mm以上あり, ポリープ状隆起, 結節状隆起, 扁平な隆起等の目立つ所見を呈した。7例は, 約2mm以下の小結節, 表面の扁平な隆起・腫脹, 表面の不整等の目立たない所見を呈した。3例は無所見で, 気管支鏡可視範囲内にあっても病変が微細で認識できなかったものが2例, 気管支鏡可視範囲外の末梢にあり, レ線写真でも確認できなかったものが1例であった。これらの症例は, 気管支鏡下に, 気管支分泌物・洗浄吸引物・擦過物の細胞診, および生検を系統的に用いることにより, 局在部位を同定することが可能であった。
著者
大浦 裕之 石木 幹人 広瀬 正秀 冨地 信和 高山 和夫 橋本 邦久
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.23-27, 2003-02-20

背景.骨内分化型骨肉腫は,長期の臨床経過をたどる低悪性度骨腫瘍として最近知られるようになった骨肉腫の1亜型である.その肋骨原発は非常に稀であり,今回報告する.症例.45歳男性,38歳時(昭和63年)より胸部X線写真上,右胸壁の異常影を指摘されていた.平成7年4月近医を再受診した際,腫瘤影の増大が認められ,同年6月当科紹介となった.胸部X線写真上では,右胸壁より上肺野に突出する4cm大の辺縁整の腫瘤影を認めた.胸部CTでは右第4肋骨に内部不均一な腫瘍を認めた.悪性骨腫瘍の可能性を考慮し同年7月18日手術を施行,右第4肋骨の部分切除および上下肋間筋の合併切除を施行した.術後の病理組織検査にて右第4肋骨原発の骨内分化型骨肉腫と診断された.術後は化学療法や放射線療法を施行しなかったが,約7年経過した現在,再発なく生存中である.結論.骨内分化型骨肉腫の組織診断は困難であるが,本例では組織学的に骨周囲組織への浸潤像がfibrous dysplasiaとの重要な鑑別点となった.さらに,腫瘍を完全切除できたことが,初回発見時より14年という長期生存に寄与したものと考えられた.(肺癌.2003 ; 43 : 23-27)
著者
服部 正次 池上 晴通 建石 竜平 早田 義博 船津 秀夫 大田 満夫 米山 武志 下里 幸雄 橋本 邦久 西村 穣 伊藤 元彦 村上 国男 早乙女 一男 佐藤 正弘 沢村 献児
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.361-370, 1979-12-25

最近5年間に手術をうけた肺腺淋393例の予後を検討し,また,術後Adjuvant chemorapyの効果をも比較検討した.組織亜型の如何を問わず,高分化,型腺癌および,臨床病期I期例;腋瘍径3cm未満,治癒切除をうけたものの予後が優れていた.乳頭型腺癌と腺管型腺癌では,分化度別にみても,5年生存率,50%生存率ともに有意差なく,今後他の観点からの詳細な亜型分類の必要がある.また,術後化学療法は,EX+MMC+5・FU治療群が良好な生存曲線を示した.