著者
井上 健 岩城 明子 黒澤 健司 高梨 潤一 出口 貴美子 山本 俊至 小坂 仁
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.435-442, 2011 (Released:2014-12-25)
参考文献数
16

先天性大脳白質形成不全症は, Pelizaeus-Merzbacher病 (PMD) を代表とする主に遺伝性の原因により大脳白質の髄鞘形成不全を特徴とする疾患群の総称である. これまでPMD以外の疾患については, 臨床および分子遺伝学的な分類が困難であった. しかし, ここ数年で新たな疾患概念の確立や疾患遺伝子の同定が進み, PMD以外の先天性大脳白質形成不全症に関する多くの知見が明らかになった. これらを加味した先天性大脳白質形成不全症の診断基準や疾患分類は, 臨床上有用と思われる. 本稿では, 先天性大脳白質形成不全症に関する研究班による成果による新たな診断基準や, この疾患群に含まれる11疾患の鑑別診断のためのフローチャートを含む疾患分類を中心に, 先天性大脳白質形成不全症に関する最新の知見をまとめた.
著者
井上 健 井上 高良 出口 貴美子
出版者
独立行政法人国立精神・神経医療研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ある同一の遺伝子内の異なる変異が、異なる表現型を呈する別個の疾患の原因となる現象をアレル親和性と呼ぶ。アレル親和性の分子基盤の理解には、各疾患の分子病態の解明が必要である。我々は、転写因子SOX10の変異が、アレル親和性効果によりWS4とPCWHの2つの異なる疾患を引き起こすことを明らかにし、in vitroでの分子病態解析により、SOX10におけるアレル親和性の分子基盤を明らかにしてきた。本申請では、さらにBACトランスジェニックマウスの手法を用いてPCWHの組織細胞レベルでの分子病態を明らかにし、in vivoでのSOX10アレル親和性の分子基盤を明らかにした。