著者
加藤 千枝
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.31-43, 2013

本研究では「SNS疲れ」に繋がるネガティブ経験について明らかにし,「SNS疲れ」という抽象的な言葉で捉えられてきた現象を具体化することが目的である。高校生15名に対して半構造化面接を行った結果,36のエピソードを得た。36のエピソードをコード化し,それが「受信者」または「発信者」としてのエピソードであるのか,「現実世界で交流のある者」または「現実世界で交流のない者」とのエピソードであるのか,上記2つの軸に基づき分類することが妥当であると思われた。その結果,「受信者」としてのネガティブ経験が複数語られ,特に「誹謗中傷発信」「見知らぬ者からの接近」が挙げられた。つまり,SNSでほとんど発信を行っていない者であっても,「SNS疲れ」に至る可能性が明らかになったと言える。また,「現実世界で交流のある者」に関するネガティブ経験も複数語られ,その理由として,SNSが既存の関係の中で主に利用されており,SNSを退会することによる既存の関係への悪影響を高校生が懸念している為だと思われる。
著者
加藤 千枝
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.31-43, 2013-06-30 (Released:2017-02-04)
被引用文献数
1

本研究では「SNS疲れ」に繋がるネガティブ経験について明らかにし,「SNS疲れ」という抽象的な言葉で捉えられてきた現象を具体化することが目的である。高校生15名に対して半構造化面接を行った結果,36のエピソードを得た。36のエピソードをコード化し,それが「受信者」または「発信者」としてのエピソードであるのか,「現実世界で交流のある者」または「現実世界で交流のない者」とのエピソードであるのか,上記2つの軸に基づき分類することが妥当であると思われた。その結果,「受信者」としてのネガティブ経験が複数語られ,特に「誹謗中傷発信」「見知らぬ者からの接近」が挙げられた。つまり,SNSでほとんど発信を行っていない者であっても,「SNS疲れ」に至る可能性が明らかになったと言える。また,「現実世界で交流のある者」に関するネガティブ経験も複数語られ,その理由として,SNSが既存の関係の中で主に利用されており,SNSを退会することによる既存の関係への悪影響を高校生が懸念している為だと思われる。
著者
加藤 千枝
出版者
社会情報学会
雑誌
社会情報学会(SSI)学会大会研究発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.247-252, 2012

The author clarified that relation between difficulty in human-relations and e-mail use of girls' high school students. As a result, there were 19 episodes of difficulty in human-relations related to e-mail use and we could classify them in six types. In addition, we found some episodes of maintained relations and the others broken off. In episodes of maintained relations, there were common territories in the real world, but there were no territories in episodes of relations broken off. Moreover, we found personal spaces in the Internet, and some girls had displeasure in being infringed on their personal spaces.
著者
加藤 千枝
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.43-56, 2015-10-31 (Released:2017-01-25)
参考文献数
12

本研究では「ネットを介した出会い」経験者と非経験者のネット利用の差異を検討することを目的として, 公立中学校Aの生徒を対象に質問紙調査を実施した。なお, ここでは「ネットを介した出会い(以下, 括弧をはずす)」をオフライン上で交流のない者とネットを介して知り合い, 実際に会うこととする。質問紙調査の結果, ネットを介した出会い経験者は1日のネット利用時間が非経験者よりも有意に長かった。また, 出会い経験者が積極的に利用しているサイトとして「ソーシャルネットワーキングサイト(サービス)」が挙げられ, 非経験者が利用しているサイトとして「動画」が挙げられた。一方, たとえばフィルタリング導入の有無や学校生活全般への充実度について, 出会い経験者と非経験者の間に有意差はなく, また, 先行研究では男子より女子の方がネットを介した出会いを実現させていたが, 本研究において有意差はなかった。
著者
加藤 千枝
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.45-57, 2013-06-30 (Released:2017-02-04)

本研究では,出会いを「ネットを介して知り合った人と実際に会った経験」とした上で,ネットを介した出会いの過程を質的に明らかにすることを目的とし,青少年女子15名に対して半構造化面接を実施した。その結果,ネットを介した出会い経験者は8名,非経験者は7名おり,経験者は「インスタントメッセンジャー」「ソーシャルネットワーキングサイト(サービス)」「メールボックス」「BBS」を介して異性の者との出会いを実現させていた。また,経験者はネットを介した出会いを実現させる前,出会いに対して「否定的感情」を抱いているにも関わらず出会いを実現させており,その理由として,ネットの特性が影響していることが考えられる。加えて,経験者はフィルタリングが導入されていない端末から自由にネットを利用できる環境にあり,ネットを介した出会いのトラブルや事件を防ぐ為には,青少年心理を理解した上でのリスク教育とペアレンタルコントロールも必要であると言える。
著者
加藤 千枝
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.47-60, 2014-09-30 (Released:2017-02-04)

GC(ゲーテッド・コミュニティ)とは居住境界線を明確に示すコミュニティの形態である(Blakely & Snyder,1997=2004)。本研究ではSNS上のGCの分類を行い,非GCとの比較・検討をすることで,オンライン上のGCの可能性と限界を整理し,考察することが目的である。先行研究を踏まえ,SNS上の151のGCを分析した結果,「知人同士のやりとり」「見知らぬ者同士のやりとり」「個人利用」「完全非公開」の4点に分類することができた。さらに,限定的ではあるが青少年99名の自由記述から,SNS上のGC・非GC共に他者とやりとりすることでカタルシス効果が得られた。しかし,非GCでは相手に打ち明けることで関係が変容・崩壊してしまう恐れのある話題についても,打ち明けることが可能なので,そのような点がGCとの差異として見出されたと考える。
著者
加藤 千枝
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.45-57, 2013

本研究では,出会いを「ネットを介して知り合った人と実際に会った経験」とした上で,ネットを介した出会いの過程を質的に明らかにすることを目的とし,青少年女子15名に対して半構造化面接を実施した。その結果,ネットを介した出会い経験者は8名,非経験者は7名おり,経験者は「インスタントメッセンジャー」「ソーシャルネットワーキングサイト(サービス)」「メールボックス」「BBS」を介して異性の者との出会いを実現させていた。また,経験者はネットを介した出会いを実現させる前,出会いに対して「否定的感情」を抱いているにも関わらず出会いを実現させており,その理由として,ネットの特性が影響していることが考えられる。加えて,経験者はフィルタリングが導入されていない端末から自由にネットを利用できる環境にあり,ネットを介した出会いのトラブルや事件を防ぐ為には,青少年心理を理解した上でのリスク教育とペアレンタルコントロールも必要であると言える。
著者
加藤 千枝
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.109-121, 2012

本研究では青少年女子のメールボックス利用実態を明らかにすることを目的として,女予中高生9名に対し,半構造化面接を実施した。その結果,青少年女子は主に「同集団他者」や「他集団他者」との関係形成の為にメールボックスを利用していることが明らかとなった。また,「他集団他者」の「異性の者」からメールボックスを介して連絡を受ける者も複数おり,「異性の者」と実際に会った結果,「サイバーストーカー」等の被害に遭った青少年女子もいた。一方で,メールボックスを介して知り合った「異性の者」と交際した経験を持つ者もおり,メールボックスは携帯電話のメールとは異なる使い方をされているメディアであることが明らかとなった。
著者
加藤 千枝
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.47-60, 2014

GC(ゲーテッド・コミュニティ)とは居住境界線を明確に示すコミュニティの形態である(Blakely & Snyder,1997=2004)。本研究ではSNS上のGCの分類を行い,非GCとの比較・検討をすることで,オンライン上のGCの可能性と限界を整理し,考察することが目的である。先行研究を踏まえ,SNS上の151のGCを分析した結果,「知人同士のやりとり」「見知らぬ者同士のやりとり」「個人利用」「完全非公開」の4点に分類することができた。さらに,限定的ではあるが青少年99名の自由記述から,SNS上のGC・非GC共に他者とやりとりすることでカタルシス効果が得られた。しかし,非GCでは相手に打ち明けることで関係が変容・崩壊してしまう恐れのある話題についても,打ち明けることが可能なので,そのような点がGCとの差異として見出されたと考える。
著者
加藤 千枝 堀田 香織
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教育学部
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.107-119, 2012

In this research, the author monitored the content of Internet postings by students at two public junior high schools, and exchanged information regarding the content of the postings with their teachers on a regular basis. This paper is a report on the practice of monitoring whereby the content obtained from this information exchange was used by teachers for student understanding and student guidance.Specifically, the paper introduces two students as case studies and presents the case outlines, monitoring process, case intervention, and condition of the students after intervention.The research indicates four important points for monitoring using Internet postings by junior high school students. The first point is that in implementing monitoring, the teacher must not only know the content of the student's Internet postings, but also have an understanding of the student's family environment and relationships with friends in order to provide guidance. The second point is the need for a supporter who assists the teacher. The supporter is the party who provides the teacher with Internet information that is useful for student guidance and student understanding. After concluding an agreement with the school regarding the handling of personal information, it is essential that the supporter exchanges information with the teacher on a regular basis to carefully examine the information and to maintain good relations with the teacher. Third, from the viewpoint of the psychological development of junior high school girls, the study notes how their Prof(profile site) and exchanges on SNS game sites meet their needs for seeking friendship and conformity, and promote the formation of chum groups. Finally, the study emphasizes that an "attitude of understanding" among adults regarding the Internet behavior of adolescent girls is important for providing guidance.