著者
加藤 千穂 片岡 弥恵子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.4-14, 2015 (Released:2015-08-29)
参考文献数
25
被引用文献数
2

目 的 本研究の目的は,既存の文献より,産科に従事する医療者に対する産科救急シミュレーションの効果について明らかにすることである。方 法 PubMed,CINAHL Plus With full text,The Cochrane Library,Maternity and Infant Care,医学中央雑誌Ver.5にて検索を行い,Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventionsに基づいて,文献の批判的吟味と分析を行った。結 果 RCT 5件を分析対象とし,採用文献のバイアスのリスクは低いと判断した。介入を高忠実度(high-fidelity)シミュレーションとし,対照群はシミュレーションを実施しない,低忠実度(low-fidelity)シミュレーション,レクチャーと設定した。パフォーマンスについては,高忠実度シミュレーションのほうが低忠実度シミュレーション,レクチャーと比較しパフォーマンスが向上した。また,高忠実度と低忠実度の比較では,肩甲難産の管理ついては高忠実度群のほうが,パフォーマンスが向上するが,子癇の管理については有意な差は見られなかった。知識については,高忠実度と低忠実度で差はなく,コミュニケーション技術は,シミュレーターの忠実度による差はない,もしくは低忠実度シミュレーションのほうが,コミュニケーション技術が向上するという結果であった。結 論 子癇,肩甲難産の管理に関する高忠実度シミュレーションは,トレーニングを実施しないことや,レクチャーと比較し,パフォーマンスを向上させる。しかし,シミュレーターの忠実度の違いによる知識,コミュニケーションへの明らかな効果は認められなかった。今後は,子癇,肩甲難産以外のプログラムや,産科合併症など長期的アウトカムの評価が求められる。
著者
荻原 和孝 加藤 千穂美 斎藤 和子
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.628-640, 1995-12-28
被引用文献数
8 6

本実験は,歯周病原性細菌に対する多形核白血球(PMN)の活性酸素産生[Chemiluninescence (CL)反応],食・殺菌能への補体・抗体の影響を明らかにすることを目的とした。PMNはカゼイン刺激マウス腹腔内から採取した。また,歯周病原性細菌としてActinobacillus actinomycetemcomitans; Aa, Porphyromonas gingivalis; Pg, Fusobacterium nucleatum; Fnを使用した。マウスに生菌免疫を施し,超音波破砕抗原に対する抗体価をELISA法で測定した。IgGがAaとPg免疫マウス,IgMがFn免疫マウスで高かった。CL反応はルミノール依存性のCL反応を測定した。食菌能は各反応液をスライドガラスに塗抹・乾燥し,メイ・グルンワルド・ギムザ染色後,顕微鏡を使用して観察した。菌の生残は,血清,抗体,PMN単独または組み合わせて反応させ,平板培地上でカウントした。CL反応の増加は,Aaが補体,Pgで補体・抗体の両方に依存したが,Fnは補体,抗体のどちらにも反応性を示さなかった。またFnはD-ガラクトース,N-アセチル-D-ガラクトサミン,マンナンによって抑制された。食菌能はAaとFnが補体,Pgが補体・抗体の両方の存在で増加した。しかし,補体,抗体,PMN単独または組み合わせによる殺菌効果は得られなかった。結論として,補体はAaのCL反応と食菌能の増加に,補体と抗体の両方がPgのCL反応と食菌能に関与した。また,FnはCL反応でレセプターの相互作用が関係したが,食菌能には補体を必要とした。しかし,補体,抗体は殺菌効果を示さなかった。