- 著者
-
前川 隆彰
武 純也
河村 俊邦
堀内 俊克
加藤 章一郎
彦田 玲奈
山村 武史
渡邉 純一
小林 彩香
小林 真一
佐藤 謙
木村 文彦
- 出版者
- The Japan Society for Hematopoietic Stem Cell Transplantation
- 雑誌
- 日本造血細胞移植学会雑誌 (ISSN:21865612)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, no.4, pp.114-119, 2014 (Released:2014-10-15)
- 参考文献数
- 15
HLA一致非血縁ドナーより同種骨髄移植を受けた46歳の原発性骨髄線維症の男性。移植後の血小板数は3×104/μl台で安定していたが,移植後199日目に感染や慢性移植片対宿主病(GVHD)を伴わず,急性の経過で0.7×104/μlまで低下した。好中球減少や貧血は認めず,末梢血のキメリズム解析では完全ドナー型を維持しており,二次性の生着不全は否定された。脾腫の増大も認めなかった。血小板輸血に反応せず,抗HLA抗体は陰性であったが,抗GPIIb/IIIa抗体が検出された。PAIgGの上昇も認め,免疫性血小板減少症(ITP)と診断した。prednisolone 1mg/kgで治療を開始し,治療開始7日目より血小板数が増加した。同種移植後のITPの多くはGVHD等が関与しており,しばしば治療抵抗性である。本症例は他の免疫反応を伴わず治療反応性も良好であった。病態を検討する上で重要な症例と考えたため,文献的考察を加え報告する。