著者
濱野 惠 木村 文彦
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.41-47, 2018 (Released:2018-03-31)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

イチゴ種子繁殖型品種‘よつぼし’を北東北で夏秋どりに適用するため,4月下旬定植・無加温栽培を行って播種日,播種時のセルトレイの大きさ,および花成促進目的の長日処理について検討した.播種時期について,1月27日播種は5月中旬頃に頂花房が分化し,1か月おきの長日処理(24時間日長,2週間)時期に応じて累積花房数が無処理より増加したが,8月処理による花成促進効果が現れる時期は想定する作型には遅いと考えられた.2月27日播種苗は5月の長日処理にはほとんど感応せず,幼若性が推察された.6月, 7月処理で累積花房数が増加したが,収益性を考慮すると播種時期は1月中が適すると思われた.次に,セルトレイの大きさと9月以降の増収を目的とする長日処理の影響を調査するため,1月13日にセルトレイ200穴および406穴に播種し,6月, 7月, 6月 + 7月に長日処理(24時間日長,2週間)を行った.セルトレイによる定植時生育,頂花房分化時期,同じ長日処理間の花房数や収量性にはほとんど差がなかった.6月処理で9月に,7月および6月 + 7月処理で10, 11月に無処理に対して増収効果が確認されたが,長日処理の適正な時期・回数については今後さらなる検討が必要と思われた.
著者
櫻井 聖大 山田 周 北田 真己 橋本 聡 原田 正公 木村 文彦 高橋 毅
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.367-373, 2013-06-15 (Released:2013-10-16)
参考文献数
17

熱中症では様々な合併症を来すが,とくに肝機能障害や腎機能障害は頻度が高い。重症例になると意識障害を来し,横紋筋融解やショック,disseminated intravascular coagulation(DIC),多臓器不全などを来す。DICを来す機序は著明な血管内脱水による末梢循環不全や,高熱による直接的な組織障害・血管内皮障害,それらに引き起こされる高サイトカイン血症,腸管粘膜の透過性亢進からのbacterial translocation,また肝障害に伴う凝固因子の産生低下に伴う出血傾向などが原因と言われているが,選択される抗凝固療法については統一された治療法は確立されていない。今回,熱中症に伴うDICに対し,遺伝子組み換えトロンボモデュリン製剤(rTM)で抗凝固療法を行い,良好な成績を得た2症例を経験した。2例とも高齢女性で,非労作性熱射病であった。いずれも高度の意識障害を伴い,肝・腎機能障害を認め,日本救急医学会の急性期DIC診断基準では5点と7点であった。抗凝固療法として,前者ではrTM単剤で,後者ではメシル酸ガベキサートとの併用を行った。いずれも経過良好で,出血性合併症もなく第5病日と第14病日にDICを離脱でき,後遺症なく第57病日と第27病日に軽快転院となった。rTMは熱中症に伴うDICに対して有効な薬剤であると思われた。
著者
小松 勉 木村 文彦 清水 理沙
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.62, pp.75-78, 2011

<p>メロン黒点根腐病に対する防除法としては,これまでクロルピクリンくん蒸剤による土壌消毒が有効とされているが,環境負荷や労力の面から薬剤による土壌くん蒸以外の防除対策が求められている.本病は地温が高まると発生しやすいとされることから,地温抑制管理による被害軽減の可能性について検討した.2009,2010 年に,北海道における施設栽培メロン抑制作型でマルチ資材として慣行的に用いられる透明ポリエチレンフィルムとライトグリーン,ダークグリーン,白黒ダブルの各有色ポリエチレンフィルムを本病発生圃場に設置してメロンを栽培し,本病の発生程度,メロンの生育,収量および内部品質について調査した.慣行の透明に比較し,白黒ダブルでは全面設置,株元設置ともに地温抑制効果が高く,少発生条件下であったものの本病の被害軽減効果がみられた.収量・品質について,白黒ダブルを株元設置した2010 年は問題が見られなかったが,全面設置した2009 年は地温抑制効果により初期生育が遅れ,収量に悪影響がみられた.以上から,白黒ダブルの株元設置は,本病の耕種的防除法として有効であるが,多発条件下での効果確認など現地実証の積み重ねが必要であると考えられた.</p>
著者
小林 左千夫 木村 文彦
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2005年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.183-184, 2005-09-15 (Released:2006-04-18)

曲線·曲面を工業的に利用する際に重要である幾何学的な性質の代表例としては、曲率や曲率分布が挙げられる。曲線の曲率を制御する手法については、従来より様々なアプローチによって研究がなされてきている。しかし、どの手法も曲率制御のために大きな制約を与えているので、表現力の点で十分とは言えないものである。そこで本研究では新たな曲線を定義し、曲率分布を制御する手法を提案する。
著者
寺本 昌弘 曽根 岳大 高田 耕平 小縣 開 齋藤 啓太 和泉 拓野 高野 昂佑 長尾 茂輝 岡田 陽介 田地 規朗 河村 俊邦 加藤 章一郎 前川 隆彰 小林 彩香 小林 真一 佐藤 謙 木村 文彦
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.598-604, 2020 (Released:2020-07-03)
参考文献数
18

2011年1月から2018年2月までに再発indolent B-cell lymphomaに対し,当科で施行したrituximab併用bendamustine(BR)療法の治療成績を後方視的に解析した。病型は濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma, FL)42例(67%)が多く,FL症例で治療を完遂した群の無増悪生存期間(progression free survival, PFS)の中央値は未到達であった。また治療開始から5年間のCD4陽性T細胞数を解析したところ,長期にわたり200/µl前後を推移する症例が多かった。BR療法は再発indolent B-cell lymphomaに対し有用な治療であり,特にFLにおいてはBR療法を完遂することがPFSの改善に重要である。また治療後は細胞性免疫不全が顕在化するため,5年程度は感染症の発症に注意するべきかもしれない。
著者
前川 隆彰 武 純也 河村 俊邦 堀内 俊克 加藤 章一郎 彦田 玲奈 山村 武史 渡邉 純一 小林 彩香 小林 真一 佐藤 謙 木村 文彦
出版者
The Japan Society for Hematopoietic Stem Cell Transplantation
雑誌
日本造血細胞移植学会雑誌 (ISSN:21865612)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.114-119, 2014 (Released:2014-10-15)
参考文献数
15

HLA一致非血縁ドナーより同種骨髄移植を受けた46歳の原発性骨髄線維症の男性。移植後の血小板数は3×104/μl台で安定していたが,移植後199日目に感染や慢性移植片対宿主病(GVHD)を伴わず,急性の経過で0.7×104/μlまで低下した。好中球減少や貧血は認めず,末梢血のキメリズム解析では完全ドナー型を維持しており,二次性の生着不全は否定された。脾腫の増大も認めなかった。血小板輸血に反応せず,抗HLA抗体は陰性であったが,抗GPIIb/IIIa抗体が検出された。PAIgGの上昇も認め,免疫性血小板減少症(ITP)と診断した。prednisolone 1mg/kgで治療を開始し,治療開始7日目より血小板数が増加した。同種移植後のITPの多くはGVHD等が関与しており,しばしば治療抵抗性である。本症例は他の免疫反応を伴わず治療反応性も良好であった。病態を検討する上で重要な症例と考えたため,文献的考察を加え報告する。
著者
則竹 茂年 中野 冠 木村 文彦
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.72, no.724, pp.3955-3961, 2006-12-25 (Released:2011-03-04)
参考文献数
9

As manufacturing activities have been widely globalized, it is becoming more and more difficult to respond to changes quickly. It is also important to take a positive stand against environmental issues to pursue the sustainability of the global environment without wasting resources related to production activities. The purpose of this paper is to establish a lifecycle-oriented design method of production systems. For this end, we have developed prototype system for life-cycle simulator, which is constructed by a demand scenario generation module and a simulation assessment module. We also conducted a simple comparative experiment taking two configuration plans for a transfer line and a cell line as examples in order to verify the effectiveness of this proposed technology.
著者
櫻井 聖大 山田 周 北田 真己 橋本 聡 原田 正公 木村 文彦 高橋 毅
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.132-140, 2013-03-15 (Released:2013-05-29)
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

重症感染症ではしばしばdisseminated intravascular coagulation(DIC)を合併することで虚血性の多臓器障害を惹起し,その予後は不良となる。感染症自体のコントロールと適切な抗DIC療法を併せて行うことが重要である。わが国において現在,感染性DICにおいて最も推奨される抗DIC薬はアンチトロンビン(AT)製剤であるが,最近リコンビナントトロンボモデュリン(rTM)製剤の有効性が相次いで報告されている。当院で治療を行った感染性DIC症例に対して後ろ向きに調査し,rTM単独投与群と,rTMとAT併用投与群での臨床効果の比較検討を行った。両群間で患者背景や治療開始時の重症度には有意差はなく,DIC離脱率,7日以内のDIC離脱率,28日後生存率といった予後にも有意差を認めなかった。また血液検査での炎症系マーカー,凝固・線溶系マーカー,日本救急医学会の急性期DIC診断基準のスコア(以下,急性期DICスコア)は,rTM投与により有意に改善したが,rTM単独群とAT併用群の両群間では,その改善の程度に有意差を認めなかった。以上のことから,rTMにATを併用しても必ずしも予後の改善に結びつくとは限らず,rTM単剤でも臨床効果が期待できる可能性があると思われた。
著者
櫻井 聖大 山田 周 北田 真己 橋本 聡 橋本 章子 木村 文彦 原田 正公 高橋 毅
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.635-638, 2014-11-01 (Released:2014-11-14)
参考文献数
9
被引用文献数
3

臭化ジスチグミン(ウブレチド®,鳥居薬品)は排尿困難に使用されるコリンエステラーゼ阻害薬である。重篤な副作用としてコリン作動性クリーゼを起こすことが報告され,その使用量は制限されるようになった。ただ,その後もコリン作動性クリーゼの報告は散見される。我々は,重症肺炎とそれに伴う麻痺性イレウスからショックに至った症例を経験した。当初は敗血症性ショックを疑ったが,臭化ジスチグミンを内服していたことと,コリンエステラーゼ活性の著明な低下を伴っていたことから,コリン作動性クリーゼによるショックが考えられた。臭化ジスチグミンはその大半が便中に排泄されることから,麻痺性イレウスのように消化管蠕動が低下している場合には血中濃度が上昇し,コリン作動性クリーゼを起こす可能性があり注意が必要と思われた。
著者
梅田 靖 松本 光崇 福重 真一 木村 文彦 増井 慶次郎 藤本 淳 増井 慶次郎 近藤 伸亮 高本 仁志 小林 英樹 木下 裕介
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

持続可能社会像の議論のため、「持続可能社会シナリオ」が盛んに描かれているが、文章の合理的理解が困難であり、また、シナリオ作成の計算機支援も十分ではない。以上の問題を解決するため、本研究は、論理構造に注目したシナリオ表現方法論、シナリオ作成の計算機支援方法論を提案し、これらを実装したシナリオ作成・分析支援システム「Sustainable Society Scenario (3S) Simulator」を開発した。さらに実行例として、持続可能社会における製造業のシナリオを作成した。
著者
三谷 純 鈴木 宏正 木村 文彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.70, pp.13-18, 1999-08-23
被引用文献数
5

本論文では、計算機上に存在するポリゴンモデルデータに対し、その3次元模型を紙で効率良く組み立てることを目的とした展開図作成手法を提案する。具体的には、展開図を切り取る際に切断の必要がある稜線の総延長、展開図に外接する長方形の面積、および展開図の部品数を組み立て易さの評価に用いる。本手法は、モデルを連続した1枚の展開図に展開することを目的とするのではなく、組み立て易さを考慮した展開図を高速に作成することを目的としている。本論文では面と稜線の関係を表すグラフに対し、深さ優先探索と欲張りアルゴリズムを用いた2種類のアルゴリズムを提案し、4通りのコスト設定方法により、作成される展開図の評価を行った。本アルゴリズムを用いた展開図の作成と、組み立ての支援を行うアプリケーションを作成し、生成された展開図をもとに紙模型を作成したので、具体例とともに報告する。This paper describes a method for generating developments of polyhedral models, which are easily constructed with paper sheet. The easiness is evaluated in terms of the total length of edges which must be cut, the area of a rectangle circumscribing the development and the number of parts of development. Our goal is not for generating the optimal development but for generating a acceptable development quickly. Basically, generating a development corresponds to finding a spanning tree of fece-edge graph of the polyhedral model. We propose two algorithms for traversing the face-edge graph, and four methods for setting costs representing the easiness of manual construction. We implemented an application which generates developments using this method and supports a user to construct paper models.