- 著者
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青山 修三
- 出版者
- 日本ペストロジー学会
- 雑誌
- ペストロジー (ISSN:18803415)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, no.1, pp.21-25, 2006-06-30 (Released:2019-04-10)
- 参考文献数
- 7
- 被引用文献数
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3
札幌産ヤマトシロアリ職蟻の温度反応を3種の実験により他地域産のコロニーと比較した.二重の試験管の温度を20.0℃から徐々に-4.0℃まで低下させる温度下降に伴う反応行動を比較した結果,産地が南から北へ行くに従って活発行動を示す温度範囲が下降する傾向が見られた.温度下降終了後10時間後の平均蘇生率は札幌産84%,秋田産16%,つくば産46%,鹿児島産20%を示し,札幌産の蘇生率が高かった.しかしながら緩慢,停止,仮死の温度反応には産地間で明瞭な差は見られなかった.広口瓶を用いての越冬期間中の死亡率を比較した結果,越冬期間中の死亡率は札幌産が最も低い54.7%で,秋田産が93.3%,鹿児島産は100%であった.シャーレ内カラマツ蒸煮材の食害による早春季採餌量比較をした結果,実験終了時のカラマツ蒸煮材への食害度は札幌産(生存率86.8%)が最も大きく,秋田産(生存率55.6%)は軽微,鹿児島産(生存率6.8%)では認められなかった.これらの結果から,今回供試した札幌産ヤマトシロアリが他地域産よりも低温に適応している可能性が示唆された.