- 著者
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江川 博明
本里 義明
- 出版者
- 公益社団法人 日本化学会
- 雑誌
- 工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.2, pp.397-401, 1965-02-05 (Released:2011-09-02)
- 参考文献数
- 3
緻密に織られたビニロン布のリン酸エステル化をリン酸-尿素法およびリン酸二アンモニウム-尿素法について試み,その反応条件と得られたカチオン交換布の性質を測定し,イオン交換膜として利用の可能性を検討した。最も良好なイオン卒換布を得るには・ビニロン布を85%リン酸20g,尿素50g,水20gまたはリン酸二アンモニウム20g,尿素40g,水40gの反応浴に浸漬し,液を2倍重量付着させ,100℃で30分間乾の反応条件と得られたカチオン交換布の性質を測定し,イオン交換膜として利用の可能性を検討した。最も良好なイオン交換布を得るには,交換布を得るには,ビニロン布を85%リン酸20g,尿素50g,水20gまたはリン酸二アンモニウム20g,尿素40g水40gの反応浴に浸漬し,液を2倍重量付着させ,100℃で30分間乾燥し,ついで160~180℃で20~30分間熱処理するのが適当であった。市販のビニロン布(厚さ0.46mm)を用いた場合,最適条件で得られたイオン交換布は総イオン交換容量が2.0~2.3meq/g,水和時の厚さ0.58~0.60mm,膜中輪率(0.1N/0.2NKCl)が0.99~0.99,比電導度(0.1NKCl)が8~9Ω-1cm-1×10-3,湿潤時の抗張力および破裂強度がそれぞれ200~220kg/cm2,14~15kg/cm2を示し,耐酸,耐アルカリ,耐溶剤性は非常に良好でそのままイオン交換膜として利用可能と考えられる。なお両方法において熱処理を高温で長時間行なうときは架橋結合の生成が認められた。