著者
大津 宏康 北岡 貴文 野並 賢
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.103-114, 2016 (Released:2016-03-31)
参考文献数
19
被引用文献数
2 3

近年,日本を含むアジア諸国では降雨に起因する斜面崩壊に伴う土砂災害の発生頻度が増加しつつある。本研究では,風化花崗岩における斜面崩壊事例が多いことを考慮し,既往の文献に基づき,花崗岩の風化特性に関する知見をレビューするとともに,その知見に基づきタイ・プーケットの風化花崗岩切土斜面における安定性評価について考察を加えた。この結果として,風化花崗岩からなる地盤において比較的急傾斜の切土斜面を構築した場合には,風化により斜面表面から比較的浅い領域に存在する細粒分が卓越する層(比較的低透水性領域)に浸透水が貯留され,それに伴うせん断強さの低下により浅層崩壊を引き起こす可能性があることを明らかにした。また,この知見を反映した調査事項に関する提言も示した。
著者
鏡堂 隼平 北岡 貴文 辻野 裕之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.54-59, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
7

近年,AIの画像認識技術が実用化されつつある.建設分野でも,CNNを用いた岩石鑑定など,画像認識を用いた試みが多くなされるようになってきた.そして,CNNを用いる場合,教師データとして多くの画像データが必要となる.このとき,十分な量のデータを入手できない場合は,データ拡張を行い,データ量を増やすことがある.このデータ拡張時には,元画像にはない新たな画像が外挿される.しかし,データ拡張により生成された画像がCNNによる岩石鑑定精度にどのような影響を与えるのか,詳細な検討はされていない.そこで本研究では,データ拡張時に生成される新たな画像について3つのモデルを作成し,評価を行った.その結果,新たな生成画像の影響により岩石鑑定結果を偏らせる傾向の一例を示した.
著者
北岡 貴文 楠見 晴重 寺田 道直 中村 真 増田 德兵衞
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.16-24, 2013-04-10 (Released:2014-04-07)
参考文献数
17

京都市伏見区は京都市の最南部に位置し,日本酒の有名な産地である.対象地は 4 km2ほどの地域に酒造会社が所有する約50本の井戸が密集し,地下水の利用が盛んな地域である.本研究は,京都市伏見区域における浅井戸観測井の水位を対象として,周辺の揚水を伴った地下水位挙動を明らかにするために,現場計測ならびに数値解析による検討を行ったものである.本研究の成果として,浅井戸観測井の水位変化を求めるための3次元地層モデルを作成し,酒造会社が密集する場においての地下水位を推定し,実測値と比較的に整合していることが認められた.