著者
中村 和市 橋木 善春 北川 浩 工藤 規雄
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.735-742, 1982-10-25

アヒルみずかき皮下にコロイダル・カーボン又は明ばん沈殿ウシ血清アルブミンを投与すると, 腰リンパ節リンパ洞内遊走性食細胞はこれらの物質を摂取後リンパ索よりリンパ小節に侵入し, コロイダル・カーボンを摂取した食細胞は食細胞小島を形成しつつ最終的には胚中心周囲域あるいは肝中心内に到達した. また西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼでは上記の食細胞を介する節内移動のほか, リンパ洞内皮および実質内細網細胞を介する移動もみられた. これらの事実は食細胞とリンパ球間の協調がリンパ節内における初期免疫応答時に重要であることを示すと思われる.
著者
橋本 善春 北川 浩 工藤 規雄 杉村 誠
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.597-605, 1982-08-25

アヒル胸腺髄質内にみられる, 細胞内小胞および細胞間小胞を形成する上皮性細網細胞の微細構造とその分泌能を電子顕微鏡的免疫組織化学によって検討した. 細胞内小胞を含有する上皮性細網細胞は, その小胞内にPAS陽性物質を含み, 粘液物質の分泌および貯蔵を示す像がみとめられたが, 細胞間小胞を構成する細胞にはこれらの像はみとめられなかった. horseradish peroxidase (HRP) で免疫すると, 抗HRP抗体が小胞含有上皮性細網細胞内に検出されたが, ファブリキウス嚢除去アヒルではみとめられなかった. これらの所見は, アヒル胸腺上皮性小胞含有細胞は粘液物質の分泌および貯蔵能を有することを示唆するものと思われた.
著者
北井 智 清水 晃 河野 潤一 佐藤 絵理 中野 千紗 北川 浩 藤尾 公輔 松村 浩介 安田 亮 稲元 哲朗
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.269-274, 2005-03-25
被引用文献数
6 61

全国47都道府県のスーパーマーケット145店舗で市販されていた鶏肉444検体(もも肉, 胸肉, 手羽, 肝臓, 筋胃, 心臓, 卵巣)について, 黄色ブドウ球菌とエンテロトキシン(SE)産生黄色ブドウ球菌の汚染状況を調べた.黄色ブドウ球菌は444検体中292検体(65.8%)から, また145店舗中131店舗の検体から分離され, 種類別による検出率には差がなかった.分離した黄色ブドウ球菌714株の約80%がPoultry型(57.1%)とHuman型(22.1%)の生物型に属した.供試した360株中78株(21.7%)がSEを産生し, 31都道府県・53店舗の78検体から分離され, そのSE型はB(50株), A(14株), C(8株), A+B(2株), A+C(2株)であった.SE産生株の多くがHumanとPoultry生物型, コアグラーゼVII, VIII, IV型に, またIII群のファージに溶菌した.同一のSE型・生物型・コアグラーゼ型・パルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)パターンの菌株が同一店舗の異なった種類の検体から, 同一県の異なった店舗の検体から, また複数県の検体から分離され, 疫学的に興味深い所見が得られた.SEB産生50株中27(54%)株が3つの類似したPFGEパターンを示し, 遺伝学的に近縁関係にあった.これらのパターンを示す菌株が11県・17店舗の検体から分離され, わが国の鶏肉の間で広く分布していることが示唆された.