著者
大隅 良典 安楽 泰宏 北本 勝ひこ
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.11-16, 1985-01-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
23
被引用文献数
1

液胞は酵母を始め植物細胞に存在し, 古くから細胞内の古くなった蛋白の再処理工場として, またアミノ酸などの貯蔵庫としての役割に関与していると言われながら, その単離が困難であったため不明な点が多かった。著者らの研究室では, 世界で初めて酵母液胞膜小胞の調製に成功し, それを用いて液胞膜ATPaseの精製, アミノ酸輸送系の解析等の液胞機能の解明が進んでいる。 本稿では, 最近の液胞に関する研究の現状と, それらと清酒醸造との関わりについて解説していただいた。
著者
北本 勝ひこ 三宅 優 渡辺 誠衛 中村 欽一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.53-58, 1985-01-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
20
被引用文献数
2 2

白米の胚芽残存率と, それを用いて仕込んだ清酒のアミノ酸度との間に, 高度な負の相関が認められたので, それを確認するために胚芽単独に添加した仕込を行い, その効果を確認した。胚芽添加仕込により得られた清酒は, 次のような成分的特徴を持っていた。1. アミノ酸度, 総窒素, OD260, OD280, 酸度等は胚芽の添加量に応じて減少した。特にアミノ酸度は対照の50%となった。2. 各アミノ酸のうち, オルニチン, トリプトファン, プロリンを除いてすべて減少したが, 顕著な減少を示したアミノ酸のなかに高級アルコールの生成に関与するバリン, ロイシン, イソロイシン等のアミノ酸の減少が含まれ, それに相応する高級アルコールが増加した。3. 有機酸のうち, 清酒にとって好ましくない酢酸, ピルビン酸の減少が顕著だった。終りに, 御校閲頂いた醸造試験所所長, 佐藤信博士および第6研究室室長, 吉沢淑博士に感謝いたします。
著者
畠山 理広 北本 勝ひこ
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.7, pp.525-531, 2008-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
14
被引用文献数
1 4

酒造りにおいて, 麹菌と光の関係に着目した研究はほとんどなかった。ゲノム解析により麹菌が光応答に関する多数の遺伝子をもつこと, また, 1日1回光をあてることにより再現性よく縞模様のあるコロニーが形成されることが確認され, 麹菌も光に応答することが明らかになった。これらの成果は, 今後, 光環境を制御することによる新しい麹造りにもつながるかもしれない。