- 著者
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大場 俊輝
中村 欽一
佐藤 信
- 出版者
- 公益財団法人 日本醸造協会
- 雑誌
- 日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
- 巻号頁・発行日
- vol.79, no.5, pp.343-348, 1984
- 被引用文献数
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官能検査パネルを選択し, 訓練する方法を開発し標準化することを目的として, 嗅力正常異常判断甘味・酸味の識別, 甘さの濃度の識別, 有機酸の味の識別テストを講習生, 酒類販売業者, 酒造技術者を対象として行った。<BR>1. パネル選定用5基準臭 (オルファクトメーター) を用い, 嗅力正常異常判断を行った。その結果, 講習生26人 (平均年令24才) 中24名 (92%) が合格であったが, 酒類販売業者は8名 (平均年令46才) 中3名 (38%) のみ合格であった。年令が若い方が嗅力は優れていた。<BR>2. 甘味・酸味の識別能力をペアー・テスト (14組) で調べた結果, 酒造技術者グループは, 講習生グループおよび酒類販売業者グループと比較すると危険率5%以下で有意な差があり, 識別能力が優れていた。<BR>3. 甘味の識別能力は, 訓練することにより向上し, 判断が安定化することがわかった。また, 個々の被検者では, 訓練することにより甘味・酸味とも識別能力の向上する被検者がおり, 訓練することの必要性が知られた。<BR>4. 利酒の経験のない被検者は甘味よりも酸味の識別能力が優れていた。<BR>5. 甘さ濃度の識別では, 講習生は69%合格したのに対し, 酒類販売業者は38%であった。<BR>6. 乳酸, クニン酸リンゴ酸, コハク酸の4有機酸の味の識別では, 講習生は27%合格したのに対し酒類販売業者は全員不合格であった。個々の有機酸では, リンゴ酸, コハク酸の味が識別しやすく, 乳酸とクエン酸とを誤識別する傾向があった。