著者
土屋 政雄 馬ノ段 梨乃 北條 理恵子
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.19-23, 2017-02-28 (Released:2017-03-03)
参考文献数
24
被引用文献数
1

ストレスチェック制度の開始により,労働者のセルフケアに対する関心も高まっていくことが予想される.制度のねらいから,生産性向上を視野に入れたセルフケアの普及が望まれる.本稿では,「マインドフルネス」や「アクセプタンス」といった概念を用いた方法について,その特徴,科学的根拠,実施する際の参考となる情報などを解説する.先行研究よりマインドフルネスについてはすでに多くの研究が行われているが,アクセプタンスに関する研究は数が少なく,途中段階であることが明らかとなった.ストレス症状低減についてはどちらも一定の効果が期待されるが,生産性向上についてはさらなる研究の蓄積が必要と思われる.
著者
北條 理恵子 坂本 龍雄 黒河 佳香 藤巻 秀和 小川 康恭
出版者
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.51-56, 2011 (Released:2011-09-30)
参考文献数
30
被引用文献数
1

室内空気中の化学汚染物質による健康障害と考えられる,シックハウス症候群(SHS)と化学物質過敏症(CS)の発症や増悪には「におい」が関与することが報告されている.しかしながら,今までに室内空気汚染物質の健康影響を「におい」自体からとらえた実験研究はほとんどない.今後,労働衛生の重要な課題として不快な「におい」発生の予防と対策が必要である.我々は,職場で問題となる揮発性有機化合物(VOCs)および真菌由来揮発性有機化合物(MVOCs)の「におい」に焦点をあて,「におい」そのものが引き起こす健康影響を実験動物により検討する嗅覚試験法の確立を計画している.本稿では,近年問題となっている室内空気汚染物質による健康影響について解説したのち,嗅覚試験系の確立のため,我々が開発した基盤的な試験法を紹介する.