著者
佐藤 秀樹 土屋 政雄
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
pp.21-005, (Released:2022-04-18)
参考文献数
15

認知行動療法は目に見えない構成概念を測定する尺度の開発とともに発展してきた。患者報告式アウトカム尺度(Patient-Reported Outcome Measure: PROM)とは、患者の健康状態を患者自身の直接的な報告から情報を得て、修正や解釈を介さない尺度を指す。PROMの系統的レビューによってPROMの測定特性を理解することは、臨床や研究で測定したい概念に適したPROMを選ぶ場合などにも役立つ。本稿では、COSMIN(COnsensus-based Standards for the selection of health Measurement INstruments)の方法論に基づき、2018年に改訂された(a)PROMの系統的レビューのガイドライン、(b)コアアウトカムセットのガイドライン、(c)特に大きく変更された内容的妥当性のガイドラインについて解説する。
著者
国里 愛彦 土屋 政雄
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
pp.21-004, (Released:2022-04-18)
参考文献数
29

心理学の再現性の問題が指摘されるようになって久しいが、心理学および認知行動療法の研究において再現可能性を高めるための取り組みはまだ十分に進んでいない現状がある。本稿では、現状把握として、認知行動療法に関連する心理学における再現性の危機について概観したうえで、再現性の危機を乗り越えるための方策について論じた。具体的には、Goodman et al.(2016)が提唱する3つの再現可能性(方法の再現可能性、結果の再現可能性、推論の再現可能性)に基づいて、それぞれの現状における問題点の指摘と問題を乗り越えるための前向きな解決法について解説した。3つの再現可能性は主に個々の研究者の研究実践を扱っているが、より広く社会の中で研究実践を位置づけ、研究の価値を高めることも必要となってきている。そこで、研究疑問の優先順位付けにより研究の価値を高めることについても論じた。
著者
土屋 政雄
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.107-116, 2015-05-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
12

質問票による測定指標についての尺度研究は、医療や心理学の分野をはじめ、認知・行動療法の研究においても広く行われてきた。しかし類似概念尺度の乱立や、尺度は開発されたものの科学的に明らかにすべき尺度特性が十分に検討されていないなどの問題がある。こうした現状を変えるため健康における測定の分野を中心にCOSMIN(COnsensus-based Standards for the selection of health Measurement INstruments)チェックリストがさまざまな領域の研究者らの合意に基づき作成された。本稿では、COSMINチェックリストの概要を紹介するとともに、これに準拠し尺度研究において失敗しない研究計画を立てるため、特に重要な四つの留意事項((1)例数設計、(2)再検査信頼性・測定誤差の評価、(3)仮説の設定、(4)反応性・解釈可能性の評価)の解説と、その具体的な記載事例を紹介することを目的とする。
著者
佐藤 秀樹 土屋 政雄
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.123-134, 2022-05-31 (Released:2022-07-28)
参考文献数
15
被引用文献数
2

認知行動療法は目に見えない構成概念を測定する尺度の開発とともに発展してきた。患者報告式アウトカム尺度(Patient-Reported Outcome Measure: PROM)とは、患者の健康状態を患者自身の直接的な報告から情報を得て、修正や解釈を介さない尺度を指す。PROMの系統的レビューによってPROMの測定特性を理解することは、臨床や研究で測定したい概念に適したPROMを選ぶ場合などにも役立つ。本稿では、COSMIN(COnsensus-based Standards for the selection of health Measurement INstruments)の方法論に基づき、2018年に改訂された(a)PROMの系統的レビューのガイドライン、(b)コアアウトカムセットのガイドライン、(c)特に大きく変更された内容的妥当性のガイドラインについて解説する。
著者
土屋 政雄
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.107-116, 2015-05-31

質問票による測定指標についての尺度研究は、医療や心理学の分野をはじめ、認知・行動療法の研究においても広く行われてきた。しかし類似概念尺度の乱立や、尺度は開発されたものの科学的に明らかにすべき尺度特性が十分に検討されていないなどの問題がある。こうした現状を変えるため健康における測定の分野を中心にCOSMIN(COnsensus-based Standards for the selection of health Measurement INstruments)チェックリストがさまざまな領域の研究者らの合意に基づき作成された。本稿では、COSMINチェックリストの概要を紹介するとともに、これに準拠し尺度研究において失敗しない研究計画を立てるため、特に重要な四つの留意事項((1)例数設計、(2)再検査信頼性・測定誤差の評価、(3)仮説の設定、(4)反応性・解釈可能性の評価)の解説と、その具体的な記載事例を紹介することを目的とする。
著者
戸澤 杏奈 松永 美希 土屋 政雄 中山 真里子 熊野 宏昭
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
pp.21-028, (Released:2022-12-07)
参考文献数
25

本研究の目的は、日本語版Work-related Acceptance and Action Questionnaire(WAAQ)を作成し、その信頼性と妥当性を検討することであった。研究1では、日本語版WAAQを作成し、就業者180名を対象に構造的妥当性、内的一貫性、仮説検証(収束的妥当性)を検討した。その結果、日本語版WAAQが高い内的一貫性、一部の構造的妥当性および収束的妥当性を有していることが示された。研究2では、就業者2,071名を対象に構造的妥当性、仮説検証(収束的妥当性とサブグループ間の比較)を検討し、うち320名を対象に再検査信頼性と測定誤差を検討した。その結果、日本語版WAAQが高い収束的妥当性、十分な構造的妥当性を有していること、年代、業種、職種におけるサブグループ間を比較すると小さな効果量が見られること、また測定誤差が示された。一方、再検査信頼性には課題が残された。
著者
松永 美希 土屋 政雄
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.133-142, 2020-05-31 (Released:2020-10-23)
参考文献数
29

本稿では、主に職場メンタルヘルス対策における予防の枠組みから、認知行動療法の適用と課題について報告した。一次予防では、広く健康な人々にもストレスへの気づきや対応を促すためにも認知行動療法を活用したストレスマネジメントが有用である。二次予防では、メンタルヘルス不調者への早期介入に認知行動療法の諸技法は適しており、職場調整をねらった他職種や人事労務との連携においても認知行動療法による問題理解の明快さは有用である。三次予防では、休職者の復職支援や精神障害者の職場適応に向けた症状コントロールや働き方に関する意思決定などに認知行動療法が適用されている。近年では、これらの予防的取り組みにおいて、マインドフルネスやアクセプタンス&コミットメント・セラピーといった第三世代の活用事例も増えている。今後は、生産性の向上などポジティブな側面にも認知行動療法の適用を広げていくことが課題である。
著者
土屋 政雄 馬ノ段 梨乃 北條 理恵子
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.19-23, 2017-02-28 (Released:2017-03-03)
参考文献数
24
被引用文献数
1

ストレスチェック制度の開始により,労働者のセルフケアに対する関心も高まっていくことが予想される.制度のねらいから,生産性向上を視野に入れたセルフケアの普及が望まれる.本稿では,「マインドフルネス」や「アクセプタンス」といった概念を用いた方法について,その特徴,科学的根拠,実施する際の参考となる情報などを解説する.先行研究よりマインドフルネスについてはすでに多くの研究が行われているが,アクセプタンスに関する研究は数が少なく,途中段階であることが明らかとなった.ストレス症状低減についてはどちらも一定の効果が期待されるが,生産性向上についてはさらなる研究の蓄積が必要と思われる.
著者
土屋 政雄 細谷 美奈子 東條 光彦
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.107-118, 2010-06-30 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、登校している子どもにおける不登校行動を、機能分析的観点から自己評定でとらえる尺度を作成し、小学校へ通う児童に適用して因子構造の検討、信頼性・妥当性の検討を行うことであった。13の小学校に通う6年生児童1,119名を対象とし、日本語版SRAS-R登校児用(SchoolRefus-alAssessmentScale-RevisedJapaneseVersionforAttendanceatSchool:SRAS-R-JA)を作成し評定した。探索的・検証的因子分析により,斜交4因子モデルが採択された。SRAS-R-JAは欠席日数との正の関連を持ち,女子において平均点が高いことが明らかになった。したがって,SRAS-R-JAを用いて,登校している子どもの不登校行動を機能分析的側面からとらえることができると考えられる。本尺度を用いた今後の介入や予防への応用が期待される。
著者
国里 愛彦 土屋 政雄
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.113-122, 2022-05-31 (Released:2022-07-28)
参考文献数
29

心理学の再現性の問題が指摘されるようになって久しいが、心理学および認知行動療法の研究において再現可能性を高めるための取り組みはまだ十分に進んでいない現状がある。本稿では、現状把握として、認知行動療法に関連する心理学における再現性の危機について概観したうえで、再現性の危機を乗り越えるための方策について論じた。具体的には、Goodman et al.(2016)が提唱する3つの再現可能性(方法の再現可能性、結果の再現可能性、推論の再現可能性)に基づいて、それぞれの現状における問題点の指摘と問題を乗り越えるための前向きな解決法について解説した。3つの再現可能性は主に個々の研究者の研究実践を扱っているが、より広く社会の中で研究実践を位置づけ、研究の価値を高めることも必要となってきている。そこで、研究疑問の優先順位付けにより研究の価値を高めることについても論じた。
著者
土屋 政雄
出版者
南山堂
雑誌
治療 (ISSN:00225207)
巻号頁・発行日
vol.94, no.8, pp.1430-1434, 2012-08