著者
加瀬 嵩人 能勢 隆 千葉 祐弥 伊藤 彰則
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J99-A, no.1, pp.25-35, 2016-01-01

近年,非タスク指向型の音声対話システムへの需要が拡大しており,様々な研究がされている.それらほとんどの研究は言語的な観点から適切な応答の生成を目指したものである.一方で人間同士の会話においては,感情表現や発話様式などのパラ言語情報を効果的に利用することにより,対話を円滑に進めることができると考えられる.そこで我々はシステムの応答の内容ではなく,応答の仕方に着目し,感情音声合成を対話システムに用いることを試みる.本研究ではまず,適切な感情付与を人手により与えた場合に実際に対話システムの質が向上するかを複数のシナリオを作成して主観基準により評価する.次に,感情付与を自動化するために,システム発話に応じた付与とユーザ発話に協調した付与の二つの手法について検討を行う.評価結果から,感情を自動付与することで対話におけるユーザの主観評価スコアが向上すること,またユーザ発話に協調した感情付与がより効果的であることを示す.
著者
鈴木 直人 廣井 富 千葉 祐弥 能勢 隆 伊藤 彰則
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.2177-2189, 2015-11-15

本研究では,音声を用いた英会話の学習が可能なコンピュータ利用言語学習(Computer-Assisted Language Learning, CALL)システムを提案する.特に,英会話学習における学習者の応答タイミングに着目する.一般的に学習段階において応答タイミングは適切なものに比べ遅くなりがちであるが,システムとの英会話では応答タイミングを意識しにくい.そこで対話相手としてCGキャラクタを導入し,応答を要求する表現であるタイムプレッシャー表現を付加する練習方法を提案する.CGキャラクタの有無,タイムプレッシャー表現の有無のほかに,短期間での繰返し練習,および期間をおいた練習を通じて,提案手法の有効性について論じる.
著者
鈴木直人 廣井富 藤原祐磨 黒田尚孝 戸塚典子 千葉祐弥 伊藤彰則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.9, pp.1-6, 2013-12-12

英会話練習をする際は対話相手が必要であり,相手との会話がテンポ良く行えるようになる練習が求められる.CALL (Computer-Assited Language Learning) システムにおいて,学習者の応答のタイミングを向上させるような枠組みは無いのが現状である.英会話練習の際には発話内容を想起し,それを英語で表現する 2 重の認知的負荷がかかるため,交代潜時が長くなりがちであるが,対話の最初から意識的に交代潜時を短くしていくためには学習者に対して明示的な方法を用いるべきである.そこで本研究では対話相手として AR (Augmented Reality) キャラクタを設定し,タイムプレッシャー表現をかけたときに応答タイミングの練習として有効であるかどうかを実験により検証することを試みた.実験参加者にはタイムプレッシャーの有無で 2 通りの対話を行い,最後に主観評価のアンケートを行った.本稿では以上の結果と主観評価を踏まえた考察を報告する.