著者
南場 芳文 藤井 瞬 大谷 啓尊 井上 由里 上杉 雅之 武政 誠一 宮本 重範 弘津 貴章 田中 日出樹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.799-803, 2014 (Released:2014-10-30)
参考文献数
29

〔目的〕上肢挙上位におけるclosed kinetic chain(以下,CKC)運動が腱板筋の筋活動に及ぼす効果を明らかにし,腱板筋の機能回復に有効な徒手抵抗による運動方法を検証することである.〔対象〕健常な男女29名(平均年齢21.5 ± 4.7歳)の右29肩に対して行った.〔方法〕肩甲骨面上での拳上150°または,120°及び,外転位,下垂位にて棘下筋,三角筋(中部線維),僧帽筋(上部線維)の徒手抵抗に対する筋活動を積分筋電法(5秒間)にて計測した.〔結果〕肩甲骨面上での挙上150°,体重比5%の徒手的な負荷を用いたCKC運動は,棘下筋の随意最大収縮の約30%の筋活動を認めた.〔結語〕肩関節挙上位でのCKC運動は棘下筋の理学療法に有効である.
著者
南場 芳文 藤井 瞬 大谷 啓尊 井上 由里 上杉 雅之 武政 誠一 宮本 重範 弘津 貴章 田中 日出樹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.799-803, 2014

〔目的〕上肢挙上位におけるclosed kinetic chain(以下,CKC)運動が腱板筋の筋活動に及ぼす効果を明らかにし,腱板筋の機能回復に有効な徒手抵抗による運動方法を検証することである.〔対象〕健常な男女29名(平均年齢21.5 ± 4.7歳)の右29肩に対して行った.〔方法〕肩甲骨面上での拳上150°または,120°及び,外転位,下垂位にて棘下筋,三角筋(中部線維),僧帽筋(上部線維)の徒手抵抗に対する筋活動を積分筋電法(5秒間)にて計測した.〔結果〕肩甲骨面上での挙上150°,体重比5%の徒手的な負荷を用いたCKC運動は,棘下筋の随意最大収縮の約30%の筋活動を認めた.〔結語〕肩関節挙上位でのCKC運動は棘下筋の理学療法に有効である. <br>
著者
堀江 貴文 辰巳 裕美 永瀬 隆浩 田野 俊平 大月 さとみ 南場 芳文
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.AbPI2098, 2011

【目的】<BR> 近年、ノルディック(ポール)ウォーキング(以下、NW)用のポールを用いた歩行に関する研究が進んでいるが、側弯や円背を呈する変形性脊椎症やパーキンソン病に対するNWの有効性に関する研究は少ない。今回、当院を退院した患者において、ポールを使った歩行様式は、T-caneを使った歩行様式と比較し、どのような効果があるのかを検証した。<BR>【方法】<BR> この研究に同意を得た80歳代の女性。診断名はパーキンソン病(H11.2、Yahr1)、変形性脊椎症(H11.6)。既往歴、H11年、左変形性膝関節症にて左TKA術施行、H12年に右踵固定術施行。H19年、直腸脱にてストーマ置換術施行。H22.5までは歩行器歩行も可能であったが、内科疾患をきっかけに臥床がちとなり、H22.6より歩行不能となり、当院へ入院してのリハビリ開始となった。身長145.0cm、体重35.8kg。脊柱はTh10レベルを頂椎とした右凸の側彎を呈し、cobb角は30°。MMT上肢4レベル、下肢4レベル、体幹3+レベル。握力右18.0kg、左16.5kg。HDS-R20点。FIM(入院時/退院時)64点/113点。 <BR> 以下のア~ウに対して、10m歩行における歩数と所要時間(ケイデンス)を計測。なお、計測はNW指導の初回日とした。ア.T-cane(片側)による歩行、イ.T-cane(両側)による歩行、ウ.NWによる交互型歩行、デフェンシブタイプ。また、ア~ウの静止立位姿勢は、canon社製IXY1000にて前額面、矢状面、後面よりデジタル撮影、歩行動作は、sony社製SH-800にてデジタル動画撮影し、評価を加えた。NW用ポールは、(株)サンクフルハート社製KD Pole Waker伸縮タイプを使用した。<BR>【説明と同意】<BR> 本研究の目的と方法を口頭及び書面にて説明し、同意を得た。対象者の人権保護や個人情報保護に配慮し、守秘義務を遵守した。<BR>【結果】<BR> 10m歩行における歩数はア.59(歩)、イ.41(歩)、ウ.30(歩)、ウはアと比較し49.2%の向上、イと比較し26.8%の向上を認めた。平均所要時間はア.39.2(秒)、イ.33.3(秒)、ウ.27.5(秒)であり、同様にウはアと比較し29.8%の向上、イと比較し17.4%の向上を認めた。ケイデンスはア.90.7(歩/分)、イ.73.8(歩/分)、ウ.65.4(歩/分)であり、ここではウはアと比較し27.9%の向上、イと比較し11.4%の向上を認めた。静止姿勢、動的姿勢ともにNW用ポール使用時に脊柱などの伸展が確認できた。また静止立位に於けるcobb角は、両T-cane使用により23°にまで減少、NW用ポール使用により20°にまで減少した。<BR>【考察】<BR> 以上の結果より、変形性脊椎症とパーキンソン病を呈し、廃用性の機能低下を起こした患者に対してのNW用ポール使用は、ケイデンスの向上、姿勢アライメントの改善の効果を示した。<BR> この事は、両腕に把持するNW用ポールの長さは、身長の約68%程度に相当し、大腿骨大転子部に握りの位置を合わせるT-caneの場合と比較すると、高位置に存在する。また、身体重心の位置が身長の約55%の位置にあるが、NWポールの握りの位置は、それを超えた高さに存在しており、基礎疾患による重心偏位などの影響があっても、歩行動作中の安定性は向上し、ケイデンスなどの改善に寄与したと考える。同時に、T-caneと比較し、NWポールの使用による静止立位姿勢は、より容易に改善できたと考える。<BR> その他の特徴として、これらの改善効果は、即時的に認められ、高齢者に対してのポールの使用の理解もされやすく、導入が容易であった印象が強い。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 近年NWは健康増進等の目的で徐々に利用される様になってきており、その健常者に対しての有用性も数々の研究により明らかとされている。今後は、医療施設等における術後患者や機能障害を示す疾患を持つ状態の方に、NW用ポールを使用した理学療法に応用していかなければならないと考える。<BR>今回は、重度脊椎症と軽度のパーキンソン病を呈す患者に対してNW用ポールを理学療法に取り入れ、評価を実施したが、今後は対象疾患数を増やし、医療現場におけるNWの更なる可能性を見出していきたい。本研究が今後の医療現場におけるNWの発展の礎となる事を期待する。
著者
上杉 雅之 小枝 英輝 成瀬 進 井上 由里 南場 芳文 後藤 誠 村上 雅仁 武政 誠一 安川 達哉
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Bb1184, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 理学療法士(以下PT)は肢体不自由児のみならず知的障害を伴う障害児を治療することが多い。その為に、知的障害に対する知見を深める必要があり、さらに、PTに知的障害への合併を踏まえたアプローチが求められている。また、小児リハビリテーションにおいて様々な障害を有する対象児に対する多職種連携アプローチが求められているが、対象児の問題行動に対して共通した認識がなされているか疑問である。今回、我々は日本語版Aberrant Behavior Checklist(以下ABC-J)を用いてPTと作業療法士(以下OT)間で障害児の問題行動に対して採点が異なるか調査したので報告する。【方法】 対象児はT病院を利用し理学療法を受けている知的障害を有する障害児11名(男7名・女4名、年齢5歳6ヶ月~18歳1ヶ月、平均年齢11歳2ヶ月±4歳5ヶ月)であった。対象児の診断名は脳性麻痺4名、頭部外傷後遺症1名、精神運動発達遅滞2名、急性脳症後遺症4名であった。検査者は同病院に所属し、対象児をよく知っているPT8名・OT7名・計15名であった。PTの経験年数は2~14年目で平均3.7年目、OTの経験年数は2~24年目で平均8.3年目であった。検査者は個別にABC-Jを用いて対象児を採点した。統計学的解析は、検査者をPT群とOT群のABC-Jの「興奮性」、「無気力」、「常同行動」、「多動」、「不適切な言語」の項目の採点結果をウィルコクソンの符号順位検定を用いて比較した。危険率5%未満を有意水準とした。統計ソフトはR2.8.1を使用した。 ABC-Jの項目は「興奮性」に関する15項目、「無気力」に関する16項目、「常同行動」に関する7項目、「多動」に関する16項目、「不適切な言語」4項目に関する計58項目からなる。使用方法は、対象児をよく知る検者が、質問紙の項目に対して、問題なし(0点)、少し問題(1点)、問題(2点)、大きな問題(3点)の4段階で採点する。そして、その点をスコアーシートに記入することで5つの問題行動を調査することができる。【倫理的配慮、説明と同意】 対象児の保護者全てに対し、本研究について文書にて事前説明を行い、調査に参加することに同意を得た。本研究は神戸国際大学倫理審査会の承諾を得て実施した(承諾番号G2011-015)。【結果】 PT群とOT群を比較した結果「無気力」が有意差p=0.0091と効果量(Effect Size:ES)ES=0.8037で有意差を認め、「興奮性」がp=0.4372とES=0.2500、「常同行動」がp=0.3428とES=0.3161、「多動」がp=0.1953とES=0.4021、「不適切な言語」がp=0.3991とES=0.2845であった。【考察】 障害児は複雑な問題を抱え個々のアプローチでは限界があり、多職種などによる包括的なアプローチが求められている。そして、そのアプローチにはPTの最も近隣職種であるOTとの協働は不可欠であると考える。今回の結果からABC-Jの4つの項目において両群において効果量は低いものの同じように採点しており大きな違いは見られなかった。しかしABC-Jの項目は5つの問題行動にどれが含まれるか検査者にはわからないようにランダムに並べられているが、両群において「無気力」に関する項目に著しく異なる採点をつけており、その有意差と効果量はp=0.0091とES=0.8037であった。そして、採点の違いは、OTが平均値3.8点(±4.8)と採点しているのに対して、PTは平均値8.1点(±7.8)であり、「無気力」に関わる項目に、より多くの問題があると採点していた。確認のために、筆者らが報告した「The reliability of Japanese manuals of Aberrant Behavior Checklist in the Daycare Center for handicapped children 」の検査者がPTとOTのデータを抽出し再調査したところ、「無気力」に関する項目にOTは平均値0.3点(±0.5)と採点しているのに対して、PTは平均値3.2点(±8.9)と採点しており今回の結果と同じような傾向を示していたことが判明した。PTが「無気力」に関する項目に高い採点をつけた理由の一つに、座位などの静的な姿勢を観察することが多いOTと比べ、活動的な面を観察することが多いPTは「無気力」をより問題がある行動として捕らえようとした結果であると考えた。このことからABC―Jの検査者は対象児を良く知るものであれば検査が可能であるとしているが、検査者の職種によりバイアスがある可能性が示唆され、多職種間での対象児についての問題行動についての捕らえ方には若干の違いがあることを念頭に置く必要があることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】 PTとOTは同じ患児を担当することが多い、しかし、両者の患児に対する問題行動の検査の相違の有無についての報告は見られない。本研究は多職種連携アプローチにおける配慮すべき点を指摘する一つの報告として有意義であり、且つ新規性があり理学療法研究の意義があると言える。