著者
後藤 誠 石田 貴志 野中 康弘
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.A_90-A_98, 2019-02-01 (Released:2019-02-06)
参考文献数
10

高速道路の交通性能は、道路条件や走行環境条件(気象条件)、交通条件によって変化することが知られており、そのうち交通条件はドライバーの属性や自動車の性能に依存し、経年的に変化している可能性があったことから、QV の経年変化を分析した。平成 15 年から平成 28 年を対象に 39 地点の QV 図を比較した結果、ほぼ全ての地点で自由流時速度や実現最大交通量、渋滞発生後捌け交通量が経年的に低下していることを確認した。また、実現最大交通量は平均で約 7%、平均速度は 7 ~ 9% 低下していることを明らかにした。これらより、交通性能の経年的な低下傾向は広いエリアで同様に発現していることから、局所的な地点の特性によるものではなく、社会全体の様々な制度変化やドライバー属性の変化等がこれに影響している可能性があることを示唆した。
著者
後藤 誠也 高森 裕子
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要. 人文・社会科学 (ISSN:05472393)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.119-134, 1994-11-25

The discussion of sexuality education has been the most controversial issue since 1990. The revision of the Course of Study has led to teach sexuality in the subjects of natural science and health education. There are many problems to solve what should be the content of sexuality education, how to teach and what extent we are supposed to teach to. Teaching sexual intercourse, as a matter of course, is the most embarrassing question for every teachers in primary schools. Now in Japan, sex-educationists' views of teaching of sexual intercourse are divided into two groups. Both groups agree that sexuality education is not only illustrating genitals and teaching their function, but respectively showing their own ideas about content and the way how to teach that. One group insists that they need not teach genitals because the mere teaching of genitals could not be sexuality education, while the others assert that without to teach genitals they could not give the true recognition of sexuality. According to those separate standpoints, the former asserts that we should not include the sexual intercourse in sexuality education, but the latter asserts that we must include the sexual intercourse as the essential item of sexuality education. Here we take the stand of the latter opinion. In the case of primary school children, we might sometimes feel embarrassed in teaching the sexual intercourse, but considering the circumstance around children, the harmful effects were instilled by mass media, of which we are afraid they can often be inadequate or unnecessary sorts of imformation. So we should throw a new light on the sex or sexuality and lead children to the right direction. We inquired into the prevailing state in primary schools in Nara Prefecture about the sexuality education (their teaching plans, method and content etc.). We knew the following facts. In 90% or more of schools inquired sexuality education is under way, and they refer to the teaching of sexual intercourse, 36% of the whole schools actually introduced it into their class, and 37% think about translating their plans into practice at an early stage. The teachers of such schools have tried to answer to childrens' questions correctly. However there are many ptoblems awaiting solution with our efforts. We have to press for the sexuality education including the item of sexual intercourse as the key matters. For that purpose we must research many problems; such as teachers' concern about sexuality, the decision upon more specified content of sexuality education, increasing the opportunity of teachers in-service training, the development of teaching materials or tools, the negotiation with parents about sexuality education, and all that.
著者
古河 隆二 佐藤 彬 川原 健次郎 楠本 征夫 棟久 龍夫 長瀧 重信 石井 伸子 小路 敏彦 土屋 凉一 大津留 晶 松尾 彰 後藤 誠 原田 良策 田島 平一郎 中田 恵輔 河野 健次 室 豊吉
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.753-758, 1985

3回の摘出術と2回の肝動脈塞栓術(TAE)により10年8カ月生存している肝細胞癌の1例を報告した.症例は62歳の女性,1971年肝生検で肝硬変と診断.1973年10月血中AFP上昇のため当科入院.HBs抗原,HBe抗原ともに陽性.血管造影で腫瘍膿染像をみとめ,摘出術施行,右葉後上区域の3.5cm大の肝癌を摘出した.非癌部は乙型肝硬変であった.6年10カ月後に肝癌の再発がみられ,やはり右葉後上区域にて2.0cm大の肝癌を摘出.さらに10カ月後に肝癌が出現,右葉後下区域より1.0cm大の肝癌を摘出した.組織学的には,3回ともtrabeculartypeであった.さらに1年8カ月後肝癌が出現,TAEを2回施行し外来通院中である.本例の肝癌発生様式は,多中心性と思われるが,血中AFPの厳重なfollowにより3回もの肝癌摘出術に成功し,10年以上の生存をみているため報告した.
著者
末田 泰二郎 福永 信太郎 浜中 喜晴 松浦 雄一郎 後藤 誠 佐藤 雅文 右原 義久 吉本 文雄 土谷 太郎
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.381-384, 1991

シリコーン中空糸を用いた新しい膜型人工肺を開発した。熱交換器の周りに巻かれたシリコーン中空糸の外部を静脈血は落差で灌流し、ガス交換され動脈血が貯血される膜型肺である。実験は緬羊10頭を、高灌流量群(Qb=4.7±0.5L/min、6頭)、低灌流量群(Qb=11/min、4頭)に分け、8時間の常温体外循環を実施し、ガス交換能や血液適合性の検討を行った。全例順調に8時間の体外循環が実施できた。V/Q1の条件下、両群ともにガス交換能は良好であつた。また8時間の体外循環中、ガス交換能は安定しており経時的低下は認められなかつた。溶血、血小板数の変化、血中酵素の上昇は僅かであつた。フイブリノーゲンの消費も認められなかつた。本人工肺はガス交換能や血液適合性に優れ、動脈血貯血方式のため、拍動流や分離体外循環にも対処し得る膜型肺である。
著者
上杉 雅之 小枝 英輝 成瀬 進 井上 由里 南場 芳文 後藤 誠 村上 雅仁 武政 誠一 安川 達哉
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Bb1184, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 理学療法士(以下PT)は肢体不自由児のみならず知的障害を伴う障害児を治療することが多い。その為に、知的障害に対する知見を深める必要があり、さらに、PTに知的障害への合併を踏まえたアプローチが求められている。また、小児リハビリテーションにおいて様々な障害を有する対象児に対する多職種連携アプローチが求められているが、対象児の問題行動に対して共通した認識がなされているか疑問である。今回、我々は日本語版Aberrant Behavior Checklist(以下ABC-J)を用いてPTと作業療法士(以下OT)間で障害児の問題行動に対して採点が異なるか調査したので報告する。【方法】 対象児はT病院を利用し理学療法を受けている知的障害を有する障害児11名(男7名・女4名、年齢5歳6ヶ月~18歳1ヶ月、平均年齢11歳2ヶ月±4歳5ヶ月)であった。対象児の診断名は脳性麻痺4名、頭部外傷後遺症1名、精神運動発達遅滞2名、急性脳症後遺症4名であった。検査者は同病院に所属し、対象児をよく知っているPT8名・OT7名・計15名であった。PTの経験年数は2~14年目で平均3.7年目、OTの経験年数は2~24年目で平均8.3年目であった。検査者は個別にABC-Jを用いて対象児を採点した。統計学的解析は、検査者をPT群とOT群のABC-Jの「興奮性」、「無気力」、「常同行動」、「多動」、「不適切な言語」の項目の採点結果をウィルコクソンの符号順位検定を用いて比較した。危険率5%未満を有意水準とした。統計ソフトはR2.8.1を使用した。 ABC-Jの項目は「興奮性」に関する15項目、「無気力」に関する16項目、「常同行動」に関する7項目、「多動」に関する16項目、「不適切な言語」4項目に関する計58項目からなる。使用方法は、対象児をよく知る検者が、質問紙の項目に対して、問題なし(0点)、少し問題(1点)、問題(2点)、大きな問題(3点)の4段階で採点する。そして、その点をスコアーシートに記入することで5つの問題行動を調査することができる。【倫理的配慮、説明と同意】 対象児の保護者全てに対し、本研究について文書にて事前説明を行い、調査に参加することに同意を得た。本研究は神戸国際大学倫理審査会の承諾を得て実施した(承諾番号G2011-015)。【結果】 PT群とOT群を比較した結果「無気力」が有意差p=0.0091と効果量(Effect Size:ES)ES=0.8037で有意差を認め、「興奮性」がp=0.4372とES=0.2500、「常同行動」がp=0.3428とES=0.3161、「多動」がp=0.1953とES=0.4021、「不適切な言語」がp=0.3991とES=0.2845であった。【考察】 障害児は複雑な問題を抱え個々のアプローチでは限界があり、多職種などによる包括的なアプローチが求められている。そして、そのアプローチにはPTの最も近隣職種であるOTとの協働は不可欠であると考える。今回の結果からABC-Jの4つの項目において両群において効果量は低いものの同じように採点しており大きな違いは見られなかった。しかしABC-Jの項目は5つの問題行動にどれが含まれるか検査者にはわからないようにランダムに並べられているが、両群において「無気力」に関する項目に著しく異なる採点をつけており、その有意差と効果量はp=0.0091とES=0.8037であった。そして、採点の違いは、OTが平均値3.8点(±4.8)と採点しているのに対して、PTは平均値8.1点(±7.8)であり、「無気力」に関わる項目に、より多くの問題があると採点していた。確認のために、筆者らが報告した「The reliability of Japanese manuals of Aberrant Behavior Checklist in the Daycare Center for handicapped children 」の検査者がPTとOTのデータを抽出し再調査したところ、「無気力」に関する項目にOTは平均値0.3点(±0.5)と採点しているのに対して、PTは平均値3.2点(±8.9)と採点しており今回の結果と同じような傾向を示していたことが判明した。PTが「無気力」に関する項目に高い採点をつけた理由の一つに、座位などの静的な姿勢を観察することが多いOTと比べ、活動的な面を観察することが多いPTは「無気力」をより問題がある行動として捕らえようとした結果であると考えた。このことからABC―Jの検査者は対象児を良く知るものであれば検査が可能であるとしているが、検査者の職種によりバイアスがある可能性が示唆され、多職種間での対象児についての問題行動についての捕らえ方には若干の違いがあることを念頭に置く必要があることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】 PTとOTは同じ患児を担当することが多い、しかし、両者の患児に対する問題行動の検査の相違の有無についての報告は見られない。本研究は多職種連携アプローチにおける配慮すべき点を指摘する一つの報告として有意義であり、且つ新規性があり理学療法研究の意義があると言える。