著者
若林 茂 岸本 由香 南部 征喜 松岡 瑛
出版者
Japanese Association for Dietary Fiber Research
雑誌
日本食物繊維研究会誌 (ISSN:13431994)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.13-19, 1999-06-30 (Released:2011-02-23)
参考文献数
25
被引用文献数
1

健常成人を対象として,各種糖質負荷後の血糖およびインスリン分泌応答に及ぼす難消化性デキストリンの影響について検討した。さらに,食事負荷試験により,食後の血糖上昇に及ぼす影響について検討した。(1)10gの難消化性デキストリン摂取ではショ糖100g負荷後の血糖およびインスリン分泌応答を抑制し,頂値のレベルを非添加の88および69%に低下させた。また,グルコース509およびマルトデキストリン50g負荷に対して,難消化性デキストリンはインスリン分泌のみを抑制し,頂値のレベルは非添加のそれぞれ52および60%に低下した。(2)うどん定食(糖質104.2g,565kcal)摂取後の血糖応答は全般に急峻であり頂値は183.9mg/dlに達した。これに対し,菓子パン(糖質137.2g,553kcal)摂取時の頂値は145.3mg/dlであり,血糖応答は緩やかであった。これらの試験食負荷において難消化性デキストリンを緑茶あるいはコーヒーに添加して摂取させたところ,いずれも有意な血糖上昇抑制効果が認められ,頂値は88および84%に低下した。 以上の結果から,難消化性デキストリンは健常成人において食後の血糖上昇に対して一定の抑制効果が期待できるものと考えられた。
著者
脇 昌子 洪 秀樹 南部 征喜
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.91-96, 1989-02-28 (Released:2011-08-10)
参考文献数
11

インスリン非依存性糖尿病 (NIDDM) 79例の早朝空腹時血清3, 5, 3'-triiodothyronine値 (T3) を, 糖質200~300g/日の入院食摂取下に測定, 諸因子との関係を検討した. さらに65例では, T3と食事療法の効果との関係をretrospectiveに検討した. その結果T3は, 罹病歴 (年), 空腹時血糖, HbA1cとは有意な負の相関を, 肥満度 (BMI), NEFA, T4, 1日尿Cペプチド量とは有意な正の相関を認めた. 一方, 食事療法のみで良好な血糖コントロールを得た29例 (D群) のうち26例 (90%) にT3 110ng/dl以上であり, またコントロールに薬物の併用を要した36例 (D+M群) の内23例 (64%) はT3 110ng/dl未満で, 両群の食事療法開始前のT3分布に有意な差を認めた (χ2=17.0, p<0.001).すなわち, T3はNIDDMの病態を包括的に反映しており, その測定により食事療法の有効性と限界の予測が可能と考えられた.
著者
増村 美佐子 小西 すず 鈴木 秋子 武本 妥賀世 塚本 悦子 西山 由貴子 吉村 有加 南部 征喜
出版者
武庫川女子大学
雑誌
武庫川女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:09163123)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.25-31, 2004

肥満の主婦を対象に減量教室を行なった.受講生の食生活の特徴は,好きな食べ物は「おやつ」「穀類」であった.「油物は控えめ」「うす味」「野菜を多め」に気をつけている人が多いが,実際には野菜の摂取量は不足していた.また,自己流で非科学的なダイエットの繰り返しをしており,健康に強い関心を持ち,断片的な健康情報に振り回され,健康食品を多量に摂取していた.以上を踏まえた指導の結果,体重は5ヶ月間で平均4.9kg減少した(平均減量率7.9%).減量率5%以上を「有効」とした場合の有効群は11名,無効群は4名であった.有効例では講座2回目からバランス型紙に基づいた食の改善がなされ,「三度の食事を大切に」「たんぱく系食品6品目」の実行がおやつの摂取に歯止めをかけていた.併せて「家族の協力」が見られた.減量がQOLの向上につながり,それが更なる「やる気」への動機付けとなっていた.無効例では「家族の協力不足」「調理技術の不足」が減量を妨げていた.しかし受講中の体重減少はわずか1kgであったが,「愁訴」の改善がみられ,受講後の継続指導により半年後に体重が2kg減少した.今後も,以上のような肥満主婦の特徴を踏まえつつ,長期にわたる支援対策,自分の問題点に気づいているが行動に移せない人へのアプローチ法が必要であることが示唆された.